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経営計画は環境分析から始まる

経営計画策定
2023.10.31

経営計画の策定において、最初になすべきことは、外部環境と内部環境の分析です。
外部環境の状況と自社の強み・弱みを掛け合わせることが、戦略策定の基本です。
一般的なステップだからと蔑ろにせず、この環境分析をしっかりやることが、良い経営計画をつくるために必須であると考えます。

 1.外部環境分析の視点

外部環境分析とは、自社ではコントロールできないこと(自社以外のこと)を対象とします。

まずは、下記の2つの視点で見るとよいと思います。

<マクロの視点>

自社の業界に影響を与える業界外の動向です。
(景気や経済、市場、規制や法制度、政治、社会的価値観、技術革新など)

中堅・中小企業においては、特に経済的な変化や市場の変化の影響を企業間取引の連鎖のなかで増幅して受ける可能性があります。また、例えば環境関連規制への対応や技術革新による大きな業界の変動などは、専門性を持ってニッチなニーズに特化している企業においては死活問題になる可能性もあります。

<ミクロの視点>

自社の業界内の動向です。
(お客さまや競合企業、仕入れ先など)

本当にお客さまのことを理解できているのか、競合企業の動向について把握できているのかというと、できていない企業さまが多い印象です。同じ事業を安定的に行っている企業ほど、徐々に内部指向、自社中心に考えるようになるリスクがあります。
改めてお客さまの声を素直に聴くこと、ライバルを素直にみることを行ってみましょう。

<時間軸>

また、もう一つここに足して頂きたいのが、「時間軸」です。
現在だけでなく、未来(3年後・5年後、10年後は?)の視点を持ち、

・増えていくこと、減っていくこと、新しく現れること、なくなること
・そのものの中身や質が変わっていくこと
・関係性や構造が変わること

について、時間の変化とともにどうなるのかをぜひ考えてみて頂きたいと思います。

今はよくても、数年後にはガラッと環境が変わっていることが予想されるのであれば、企業としては、バックキャストでいつどのように対応をしていくべきか考える必要があります。

ミクロとマクロの視点、現在と未来の時間軸で見たうえで、外部環境分析では、SWOT分析でのOpportunity(機会)とThreat(脅威)は何かを明らかにしていくことが重要となります。

2.内部環境分析のコツ

内部環境分析は、自社でコントロールできる事柄が対象となります。
簡単にいうと、商品やサービス、経営資源、人材などですが、内部環境分析にはコツがあります。

<お客さまから見えるもの>

まずは、自社について、お客さまから見えるもの、つまり外から見ても認識が容易なものから考えます。
QPS(商品・価格・サービス)の軸で見ていくと分かりやすいでしょう。
お客さまの目からみて、ライバル企業と比較してどう知覚されているか、という視点で相対的な比較で差異を挙げていくのがコツです。

 <お客さまから見えにくいもの>

そのうえで、さらに「外から見えるもの」を生んでいる源泉は何かを考えます。つまり、外から見えにくいものです。
具体的にいえば、組織、人材、ノウハウ、技術、お客さまとの関係、外部との関係、設備・機器、情報システム、コスト管理、財務内容などがこれにあたります。

表層的な事柄だけでなく、その源泉となっていることを分解する、あるいは何によってもたらされているかを考えるのがコツです。

例えば、次のような要領で要素を分解していきます。
「営業力がある」→「商品を魅力的に説明するスキルが教育されている」「顧客情報が適切に管理されている」
「商品力がある」→「企画力の高い人材がいる」「お客様の声を取り入れる仕組みがある」「専門の開発チームがいる」

具体的に分解したうえで、SWOT分析でいう、Strength(強み)とWeakness(弱み)は何かを明らかにします。

3.外部環境分析×内部環境分析で戦略を考える

外部環境の機会・脅威と、内部環境の強み・弱みを掛け合わせて、今後の経営の方向付け(経営戦略)を考えていきます。

機会はどう生かすかを考え、脅威であることは、どう切り抜けるかを考えることになりますが、その時に自社の強みを活かすことでチャンスを最大化し、差別化を行い優位性を築いていくこと、同時に弱みを客観的に認識したうえで冷静に判断することが必要になります。

また、外部環境の時間的な変化を想定して、自社のさらに磨き伸ばしていくべき強みは何か、または新しい強みを獲得していく必要があるのかなど、中長期で取り組むべきことも見えてくるものです。

4.経営者と幹部で環境分析を行う効果

私たちは、経営計画書の策定の最初のステップに、この環境分析を行います。

外部環境分析においては、普段は「現在の業界内のこと」しか見えていないものです。特に業界外のマクロの視点、また、業界内の視点でも中長期の時間で考えると、今の事業をそのまま延長していくだけでは将来性がないということに気づくことが多々あります。

また内部環境分析においては、意外と自社に眠っている強みに気づいていないことも多く、それを掘り起こすことで、自社の差別化の可能性や新しい機会創出の可能性を発見できることがあります。

この環境分析は経営者だけでなく、特に幹部や主要なリーダークラスと行うことをお勧めします。

理由は2つあり、ひとつは、たくさんの視点で見るほうが多くの気づきを得られること、ふたつめは、経営の中長期の課題を認識し、そのあとに続く経営計画に対する納得度や腹落ちが格段に増すからです。

皆さまの会社でも、定期的に環境分析を行うことをお勧めいたします。

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