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なぜ私たちはマネジメントの道を歩むのか

経営のヒント
2022.06.24

「マネジメント」とは何をすることでしょうか。今回はマネジメントの道を歩んでいるリーダーやこれからマネジメントの道を志そうとする方々に向けて、マネジメントの父、ドラッカーの言葉を頼りにその本質に触れて頂こうと試みます。

 

マネジメントとは何をすることなのか。この問いに対して、日本企業で働く私たちが気を付けなければならない一つの誤解があります。それは、マネジャー=管理職という言葉の響きとイメージから誘発される「マネジメントとは人を管理すること」という誤解です。

では、マネジメントとは何をすることなのか。マネジメントをこの世に創造したP,F.ドラッカーの言葉からその本質をご自身の頭で考えてみてください。下記、ドラッカーの主要な著作より引用した「マネジメントとは」から始まる氏の言葉を7つ並べてみます。

 

①マネジメントとは、人の強みを発揮させ、弱みを無意味にすることである。つまりそれは、人にかかわることである。

②マネジメントとは、それぞれの国や土地の伝統、歴史、文化を仕事に組み込むことである。つまりそれは、人の関係にかかわることである。

③マネジメントとは、組織の目的、価値観、目標を明確にしてから、周知徹底し、常時確認することである。つまりそれは、組織の目的にかかわることである。

④マネジメントとは、組織の人間を成長させることである。つまりそれは、組織の人間の訓練と啓発にかかわることである。

⑤マネジメントとは、意思の疎通と個人の責任を確立することである。

⑥マネジメントとは、マーケティング、イノベーション、生産性、人材育成、人、モノ、カネ、社会的責任など、成果の尺度を明らかにして、測定し、向上させることである。

⑦マネジメントとは、組織の外に成果をもたらすことである。優れた財・サービスの提供によって、世の中に貢献することである。

 

上記をお読みいただくと、多くの方が誤解されている「管理的」な要素はありません。ここで「管理的」というのは、その英訳である「コントロール」という言葉に置き換えるとその言葉が発している意味合いを理解できるのではないでしょうか。無論、必要に応じての管理は必要だとドラッカーも言っています。しかし、この全体を貫くマネジメントに関する金言からは、人間を操作する意味合いとしての管理(コントロール)は見出せません。

 

上記のドラッカーの言葉を原理原則とした場合、マネジメントとは何をすることか、との問いに対し、導き出される結論は、マネジメントとは「人を活かし、組織の目的からくる一人ひとりの責任を確立し、マーケティングとイノベーションという活動を組織的に行うことによって、組織の外に成果をもたらすことである。そして更なる人間と組織の成長を通じてその成果を向上させ続けることである。」と。これは私なりの解釈でもあり、実践から得た経験的なマネジメント観でもありますが、読者の皆さまはどのように結論を導き出すでしょうか。

 

ただ一つ言えることは、マネジメントとは「実践である」ということです。ドラッカーはこう語ります。「つまるところマネジメントは実践である。その本質は知ることではなく、行うことにある。」(『マネジメント・上』)。或いは「マネジメントたる者は実践家でなければならない。評論家であってはならない。何が正しいかよりも、誰が正しいかに関心をもつ者をマネジメントの地位に就けてはならない。」(『マネジメント・中』)と。

 

また特に私たち日本人の場合、忘れられがちなのは②の「国や土地の伝統、歴史、文化を仕事に組み込むこと」です。グローバルスタンダード、という曖昧模糊な標準とは何でしょうか。国内だろうが海外だろうが事業はそこに確かに存在している人々(社員や顧客)のアイデンティティ、つまり「伝統・歴史・文化」を仕事に組み込まなくてはなりません。こうした人間の尊厳、人間への敬意、そしてその国の歴史的背景への理解抜きにはマネジメントはできません。故に、ドラッカーは「マネジメントとは教養である」とも語っています。

 

上記のことから帰納的に言えることは、「ゆえにマネジメントは管理(control)することではない」と確信しています。皆さまのマネジメントの道は皆さまの大切にされる信条、それを支える考え方によって切り開かれます。つまりそれは、マネジメントの道を歩む者は“人間としての成長”を、お客さまに、働く仲間に、そして社会に約束する者でもあると、未熟者ながら、そう思うのです。


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