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組織崩壊の本質と企業研修の意義:GREATになるか凡庸以下の会社で終わるか

経営のヒント
2024.02.08

私はコンサルタントではありますが、経営者と経営(マネジメント)について過去・現在・未来を語り合う以外は、ほぼほぼ企業研修のお仕事をさせて頂いております。今年に入ってすでに25日ほど研修のお仕事です。対象は経営層から新入社員までですが、主戦場は“マネジメント”をいま担っている方々です。全社員を対象に会社の未来を描き合うような大掛かりなセッションも実施しますが、そうした仕事の中で見えてくるいくつかの経営の本質があります。

『ビジョナリーカンパニー3 衰退の五段階』という本があります。本書で引用されているロシアの文豪トルストイの『アンナ・カレーニナ』の冒頭には次のような言葉があります。

「幸せな家庭はどれも似通っているが、不幸な家庭はそれぞれ違っている」

一方、マネジメントの創造者であるドラッカー先生は次のように語ります。

「転換期にあって重要なことは、変わらざるもの、すなわち基本と原則を確認することである」

「いかに余儀なく見えようとも、またいかに風潮になっていようとも、基本と原則に反するものは、例外なく時を経ず破綻する」

(出典:P.F.ドラッカー『マネジメント〔エッセンシャル版〕―基本と原則』、ダイヤモンド社)

この二人の至言を統合して推論すれば、GREATな会社(幸せそうな会社・組織)になるか凡庸以下の会社・組織に衰退するかは「基本と原則」を徹底するか忘れるかがその分岐点となるといえます。
果たして、それは本当だろうか。

私がこれまで数百社、千人以上のリーダーと直接知覚してきたうえでの直観によれば、この分岐点の捉え方はほぼ間違いがない様に思えます。一方、広く世界的な企業の実態調査、或いは世界トップクラスのビジネススクールによる様々な調査によれば、日本企業には「マネジメントがない」或いは「マネジメント教育が不十分」と断じています(米ギャラップ社、経営幹部育成で世界トップランキングを誇るスイスのビジネススクールであるIMDなど)。

マネジメントとは何か。この問いをこの数年企業研修では問い続けています。
研修ではマネジメントの全体像は多くの方々に理解はして頂いています。しかし実践はこれから、という企業が殆どです。
ではこれまで出会ってきた多くの企業でマネジメントは本当に不在だったのか、と言われれば、答えは9割方“YES”です。
もう少し具体的に言えば、これまでマネジメントを担うべき方々がやってきたのはプレイヤーの延長か、「基本と原則」を意識できないままに行われた“自己流のマネジメント”なのです。“自己流”なのでそこに再現性も発展性もありません。守・破・離で言えば基本と原則の型が無いので“型無し”となります。多くの名経営者たちが「理念(哲学)なき行為や技術は凶器である」と語りますが、型無しのマネジメントはこの警句そのものです。

マネジメントの原理原則のうち最も重要なことはお客さまに喜ばれる商品・サービスを提供することの徹底、そして働く仲間を活かしお互いの幸福を追求することです。そしてドラッカー先生が語るようにリーダーにはそれらを統合する力として「人間学」を修養していることが求められます。企業研修の意義はどこまでいってもこの「基本と原則」を忘れないように、或いは徹底の起点となるための共通認識を布教することです。
『論語』にある「学びて思わざれば則ち罔し、思いて学ばざれば則ち殆うし」(マネジメントはまずその原理原則を知ることから、しかしその広く深い知識を身に付けても、自分でそれについてよく考えなければ、本当にその本質を理解することはできない。一方、考えるばかりで実践して実践的理論にまで自分で落とし込まなければ、自己流・独断に陥って危険である)です。


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