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「クレーム対応で会社の値打ちが決まる」

小宮一慶のモノの見方・考え方
2024.02.13

私は17名の会社を経営していますが、お客さまからクレームをいただくことも少なくありません。正直なところ、クレームは嫌なものです。しかし、「クレーム対応で会社の値打ちが決まる」と言われるように、クレームにどう対応するかがとても大切です。
そのためには、クレームが発生した場合にどう対応するかをあらかじめ決めておかなければなりません。①クレームには即座に対応する、②直ちに上司に報告する、③お客さまに非があってもお客さまを非難しない、などです。
まず、即座に対応することです。お客さまは怒っておられる場合もありますが、クレームを無視するような態度をとると、2次クレームとなり決して許してもらえなくなります。即座に対応する、それも真摯に対応するとその場では叱られても、何とか許してもらえる、場合によっては関係が強化されることがあります。
当社のお客さまでクレーム対応を「チャンス対応」と言い換えている会社もあります。クレームの中に会社改善の種を見出すということとともに、クレーム対応をきちんとすることで、お客さまとの関係や評判の改善につとめられると考えているからです。
ある会社の調査だと、クレームを申し立てるお客さまは、不満を感じている人の4%だと言います。その4%のお客さまのうち、真摯に対応してくれたと感じた人は、これまで以上に購買を増やしてくれたそうです。一方、不満を感じていてもクレームを申し立てなかったお客さまは、その後の購買を継続する確率が低くなります。
次に、上司に報告することも大切です。相手がクレーマーである場合もある一方、そのお客さまが自社にとって非常に大切な場合もあるからです。クレームを起こした本人だけで判断して対応しないことです。そして、社員間での情報の共有も必要です。
これに関連して、「クレームは必ず起こる」という考え方も必要です。「クレームゼロ運動」を行う会社がありますが、これは、クレームは悪という前提に立っているからです。「事故ゼロ、ミスゼロ」の取り組みをすることはもちろん大切なことです。これは、社内の問題だからです。しかしクレームを申し立てるのはお客さまですから、どんなに頑張ってもクレームは発生するという考え方が必要です。「クレームゼロ運動」を行うと、クレームを隠すことが起こります。私は、重大なクレームを担当者が隠していたために、経営危機に陥った会社のことをその経営者から聞いたことがあります。クレームを隠すことは大変危険なことなのです。
経営の格言に、「クレームが発生することよりもクレームのないことを恐れたほうがいい」というものがありますが、「クレームは必ず発生する」という前提で、上で示したような対応方針をあらかじめ作成し、それを周知徹底しておいたほうがいいのです。経営者やリーダーが半年以上、自社や自部門のクレームを聞いたことがないというのは、誰かがクレームを握っている可能性があります。もっと怖いのは、クレームをクレームと思わず担当者が無視していることです。これでは業績が落ちるのは自明です。
最後に、ここまでクレーム「対応」と書いてきましたが、クレーム「処理」という人がいます。しかし、「処理」という言葉を聞くと、不快に思うお客さまもいます。お客さまや人にかかわることは「対応」であって「処理」ではないからです。事務処理とは根本的に違うのです。
あるところで、ある大手銀行の役員が「クレーム処理」という言葉を使っているのを聞いたことがありますが、やはりその銀行は業績も評判も悪いのが実情です


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