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モチベーションを前提にしない

経営のお役立ち情報
2020.12.04

先日、ある経営者様と打合せしていたところ、「社員のモチベーションを上げるため
のよい施策はないか」という話になりました。同社様に限らず、「モチベーションの
向上施策」というお話は、経営層からよく聞きます。

このテーマに関しては、「モチベーション向上を直接の目的とする施策は、必要な
い」というのが、私の基本的な意見です。つまりは、モチベーションを直接操作する
のは無理があり、想定する必要がないということです。「モチベーション管理」とい
う言葉を聞くこともありますが、個人が自分のモチベーションを管理しようとするの
はともかく、組織活動で管理するものでもないと考えます。

「コトバンク」では、「モチベーション」の言葉の定義について、下記などのように
説明されています。

「動機付け」と訳される。人間の行動を喚起し、方向づけ、統合する内的要因を動機
といい、モチベーションは、その動機の状態になることを促す心理的エネルギーを表
す概念。一般的には「意欲」「やる気」と同じような意味で使われる。モチベーショ
ンが、個々人の意識に関する概念であるのに対し、モラルとは集団的な感情や意識に
対して使われる概念といえる。

上記からも、モチベーションが個人の内的要因に根差したものであることが伺えま
す。つまりは、個人の問題です。個人の内的要因は、個人によって状態が様々です。
よって、何がモチベーションを上げるのか下げるのかは、個人によっても違うことに
なります。組織が、この個人の内的要因を直接動かそうとするのは、無理があるので
はないでしょうか。

これに対して、上記の観点に従うと、「モラル管理」は組織として行うべきでしょ
う。例えば、社員全体のコンプライアンスに対する認識度合いを一定以上のレベルに
保つことが必要です。そのために、コンプライアンス研修などを施策とし、取り組む
必要もあるでしょう。反対に、モチベーション研修などは施策となり得ないと思いま
す。

モチベーションが直接の施策の対象とはならない主な理由を、以下に整理してみたい
と思います。

1.モチベーションは結果として高まるものである。
例えば、ディズニーリゾートに行くために、頑張ってモチベーションを上げてから出
発する人はいないでしょう。どれほど楽しいかイメージできているために、自然と体
が動くはずです。別の例で、朝の歯磨きを、頑張ってモチベーション高めてからでな
いと取り組めない人も、やはりいないでしょう。歯の健康維持のために必要であり、
出発前のエチケットとして必要だから、特に楽しくはないが淡々とこなしているはず
です。

ゴルフに行く時も同様でしょう。行った先での仲間との語らいや、大自然の中で爽快
にプレーしている景色、今日は自己新記録に向かって邁進中の姿などを思い浮かべる
と、自然と張り切って出かけているはずです。あるいは、接待ゴルフとして、気が向
かないが不可避だから淡々と出かけているという人も、中にはいるかもしれません。
前者であればディズニー型、後者であれば歯磨き型とでも言いましょうか。

そして、その行動を終えた結果、あるいは、行動している最中に、楽しい思い出と
なって明日の活力や次にまた来る意欲が高まり積極的な動機付けがなされるでしょ
う。あるいは、積極的とまではいかないが、「好きな活動ではないけど、やはりこれ
は必要なことだったな」とその行動に意味づけし納得する消極的な動機付けもあるか
もしれません。いずれにしても、事後やあるいはその過程で、副次的な効果として各
人なりの高まり方(もしくは下がり方)をするのがモチベーションの本質でしょう。

2.モチベーションが上がらない時に行動できなくなる。
仮にモチベーションを上げることを行動の前提にしてしまうと、その前提が成り立た
ない時には行動できないということになります。「○○を実行すれば確実に△△のモ
チベーション状態になる」などが成り立てばそれでもよいのかもしれませんが、モチ
ベーションが個人の感情に基づくものである性質からして、こうした確実性は期待で
きないでしょう。

また、それができたとしても、やるべき行動の前に、モチベーションを上げるための
取り組みというステップが1つ増えることになります。こうしたステップを1つ増やす
必要もないだろうと思います。

3.何にモチベーションを感じるかは、人によって異なる。
何が動機付けの要因になるかは、人によって違います。ある人は、自分のしたことで
相手から感謝されることが無上の動機づけになるかもしれません。別の人は、組織で
の地位が上がることが最大の動機づけ要因かもしれません。自分の能力を開発し専門
力が高まること、新しい企画にチャレンジできることなど、人によって様々です。

働き方や仕事の種類などを用意し、個人が好みのメニューを選べるようにするなどは
有意義ではありますが、その直接的な目的はダイバーシティの実現や生産性の向上に
あるはずで、モチベーションの向上ではないでしょう。そうした施策の結果によりモ
チベーションが高まる個人が増えるのは歓迎すべきですが、直接的な目的ではないは
ずです。この順序をおさえておくことが、重要だと思います。

4.成功者は自身のモチベーションにこだわらない

(何をもって成功者と呼ぶのかはいろいろな考え方があると思いますが、ここでは卓
越したハイパフォーマー一般という意味合いです)

私が普段お会いする経営者(あるいは経営者に準じる経営幹部)の中には、卓越した
経営観や豊かな職業観で事業や組織を牽引し、成果を上げている方がいます。また、
お会いしたことがないものの、メディア等で名経営者の記事を見かけることもありま
す。それらを通して感じるのが、「自身のモチベーションを高めるためにどうしたら
いいか」について語っている話を見聞きした覚えがないということです。

これらの方は、自分のやるべきことを定めて、実行しているだけのことです。いちい
ち、モチベーションを上げてから動くなどと考えていません。これらの方を見ていて
も、モチベーションを前提にするのは本質ではない、と感じます。スポーツ界で名選
手と呼ばれるアスリートの中にも、「選手生活が楽しいと思ったことは一度もない」
というような言葉を発している方が見受けられます。

しかし、これらの方も、自身ではなく自組織の社員の話になると、「モチベーション
を上げるには」という話が出てくることがあるわけです。社長業は、責任や重圧の重
さは社員の比ではありませんが、基本的には楽しいものです。よって、社員は自分と
は全く立場が違うだろうから、自分と同じ温度感で仕事を楽しむのは無理があろう、
だから楽しんでもらうための工夫をしたい、という心理が働くのは理解できます。た
だ、モチベーションを行動の前提として持ち出すのは、本質的ではないでしょう。

本テーマに関連して、社長やマネジメントは、社員(あるいは自身)に対してどのよ
うに向き合うべきか。基本的には、改めて下記の通りでしょう。

・やりがいを感じられる仕事の意味づけをする(自社が取り組んでいる事業が、社会
的に意味があると思える状態となるよう、企業理念や事業目的を研ぎ澄まし、浸透さ
せる)

・各メンバーがやるべきことを定義し、(淡々とでもいいので)取り組んでもらう

・やるべきことが取り組みやすくなるヒントや工夫を共に考える

なお、「ストレングス・ファインダー」(米ギャラップ社が開発。34の資質を手掛か
りに個人の強み・弱みを発見し、能力開発やチームビルディングに活かすもの。)
を、私が行うコーチングで活用することがあります。この「ストレングス・ファイン
ダー」などは、やるべきことを自分にとってよりやりやすくできる、有力な方法論の
ひとつだと思います。

 

<まとめ>

・モチベーションは、物事に取り組む結果や過程で出てくるものであって、取り組む
ための前提にはしない。
・必要なのは、やるべきことの的確な定義と実行である。


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