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経営コンサルタントとしての財務規律の考え方

経営のお役立ち情報
2020.12.07

今回は、経営のコンサルティングについて活用できるシンプルながら重要な、財務分析である財務規律という考え方についてお伝えしたいと思います。会計事務所にお勤めの方や、その他の士業の方についても、専門分野を「経営」と結び付けたコンサルティングが求められる時代となっています。
会計事務所で働く方や、税理士さん・会計士さんなどは財務的な数字の理解はしっかりされていると思います。そこから経営のコンサルティングという領域に入れるかどうかは、単なる数字の報告ではなくその数字や比率を経営と結びつけて考えてアドバイスすることができるかどうかということにかかっています。
私自身ももともとは税理士として仕事をしていましたが、今は税理士登録をしてないコンサルタントとして働いています。(税理士の適性がなかったと言うこともありますが、、)
もともと細かいことがそれほど得意でもない自分として、コンサルティングに数字を活用する場合に意識しているのは財務規律と言う考え方です。
特に中小・中堅企業のお客様へのコンサルティングにおいては、シンプルで効果的な指標だけを活用して現状と今後の経営方針に活きる情報をお伝えすることが大切です。
財務規律とは何か?
財務規律とは、手元流動性比率(月数)、流動比率、自己資本比率の3つをバランス良く保つということです。この3つのみです。
いろいろと財務指標はあれども、この3つの「安全性の基準」をベースにしながら経営と結びつけてアドバイスすることができれば私は充分であると考えます。もちろん経営の一定期間のパフォーマンスとしての売り上げや利益利益率などは重要である事は言うまでもありませんが、この売上・利益の観点については経営者や経営陣の方もしっかりと理解されています。
一方で財務規律にあるような安全性の観点については、抜け落ちている、または偏った理解をしているケースが多いのです。(例えば、自己資本比率を改善するために、資金繰りが窮するレベルまで借入金を返済するなど)
財務的な知識を活用した経営コンサルティングとしては、そのような経営者・経営陣の盲点を補ってあげることが効果的です。
最も重要なものは、短期的な安全性です。会社が存続できなるなるときは、お金を支払うことができなくなった時です。短期的な安全性が確保されていなければすぐにお金を支払うことができなくなります。そしてこれを具体的に表現をした指標が手元流動性(月数)、そして1年程度の安全性を示したものが流動比率です。手元流動性比率とは何かと言うと現金及び同等物が月商の何か月分あるかと言うことです。一般的な中小中堅企業であれば1.5ヶ月以上は確保しておきたいところです。
・手元流動性比率(月数)= 現金及び同等物の額 / 月商 = 月商の何か月分の現金預金を持っているか
・流動比率 = 流動資産 / 流動負債 = 一年以内に支払わなければならない負債(流動負債)をどの程度の流動資産(1年以内に現金になることが想定される資産)で賄えているか
そしてこれらの短期的な安全性以外においては自己資本比率があります。自己資本比率は中長期的な安全性を担保するものです。私は事業再生の仕事もやっていましたが事業再生の仕事においてはデューディリジェンス、実態調査をすると自己資本比率がマイナスになってしまう会社ばかりでした。しかしながら資金が回っている限りにおいては生き続けることができるのです。
・自己資本比率 ≒ 自己資本(純資産) / 総資産 = 全体の資金調達(負債+資本)のうち返済義務がないもの(自己資本)の割合
財務規律の使い方
財務規律を具体的にどうような場面で使うか、ということについて記載したいと思います。
1、日常における安全性の管理
財務規律については、経営をしている中で常に気にしておく最低限の指標になります。使い方としては定期的にモニタリングして異常があれば改善の手を打つことです。
頻度としては、月次レベルでの確認の頻度で充分だと思います。(資金繰りがひっぱくしているなどの状況であれば、別途資金繰りの日繰りなどでの確認が必要ですが)
会計事務所の仕事としては月次決算についての報告のタイミングで、これらの財務規律の情報についても確認をすることが妥当だと思います。
2、事業投資を行う上での判断基準
経営には攻めと守りの考え方があります。攻めといっても安全性を犠牲にして攻めてしまうと何かあったときにすぐに会社の継続が難しくなってしまいます。だからといって守りだけで安全性ばかりについて言及をしているだけでは会社はいつまでたってもお客様・世の中に対して貢献することができません。
この経営の攻めと守りのバランスを管理するために財務規律を活用するということです。
具体的には、短期的な安全性である手元流動性比率、流動比率については一定の水準を維持した上で、自己資本比率を調整弁として投資判断をしていくということです。
例えば、総資産が10億円で、自己資本が4億円の会社があったとします。この会社の自己資本比率は40%です。この会社が事業投資ができる限度額についてどのように考えればよいでしょうか。
この時には、最低限維持しなければいけない自己資本比率の水準を決めなければ判断することができません。
短期的な安全性については、事業投資の犠牲にできないと考えたときには、事業投資をする上では資金を調達する必要があります。この資金調達を借り入れで行うのか資本で行うのかという論点はありますが、基本的に借入金によって資金調達を行うことを想定した場合には、借り入れをすることによって自己資本比率が下がることになります。
上記の例で言えば、例えば自己資本比率を最低限20%まで維持するという方針を決めた場合には、後10億円の借り入れができることになります。
つまり、10億円の事業投資が財務規律における上限であるということです。
だからといって、いきなり10億を最大限事業投資として使うのは感心できません。当然事業投資には失敗もつきものなのである程度余裕を持った投資判断をすると言うことです。しかしどのように余裕がなくなったとしても20%を下回る借り入れをしないと言う基準を決めておけば過剰な攻めに対して歯止めが効くことになります。
よくM&A等で論点になるのは、投資対象となる会社の価値が投資額に対して妥当かどうかと言う事ですが、それ以前にその会社に対して投資をすることで自社の財務規律が維持できるのかどうなのか、つまり自社の安全性が維持できるのかどうなのかといったことを先に検討するべきです。
士業の方の活用方法
このように財務規律は、日々の安全性の確認と、経営の攻めと守りの投資判断の基準として活用できます。このように、財務規律を理解して経営と結びつけて情報提供することによって毎月の決算書報告をより付加価値の高い場面に変化させることができます。
3つの指標自体はたいして難しいものではありません。
しかしその財務規律のそれぞれの意味をしっかりと理解した上で、実際の経営判断に結びつけてアドバイスができれば経営コンサルティングに具体的にいっぽ踏み込んだということができるでしょう。
経営コンサルティングとは、「経営」と言う仕事に対するコンサルティングであるため、単に数字や財務指標といったことにとどまることなく実際の経営判断と結びつけてアドバイスができることが重要なのです。
そのためには、お客様がどのような経営を行っているのか、そしてその経営においてどのような課題があるのか、その経営におけるお客様は何なのかといったことに対して関心を持ちながら皆さんのバックグラウンドである財務、税務その他の専門知識を活用していくと言うスタンスが大切です。


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