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オンライン環境におけるコミュニケーション力とは

ビジネスに活かす秘書力
2020.12.03

この数ヶ月で、実に多くのことがオンラインに置き換わりました。

朝礼も会議もオンラインになりました。ウェビナーと呼ばれるオンラインでのセミナーを受講し、自身が講師として、オンラインで研修も実施しました。テレワークになって直接顔を合わせなくなったチームのメンバーとは、オンラインで面談し勉強会を実施し、飲み会もオンラインで行いました。

オンラインの便利さや可能性を実感するとともに、リアルとは異なるオンラインでのコミュニケーションの取り方に違和感を覚え、その対応方法を考える数ヶ月でもありました。振り返ってみると、場に集う人々の表情や姿勢から発している無数の情報をキャッチし、それに合わせてこちらが投げるボールやその投げ方を変えてきたのが、リアルにおけるコミュニケーションだったのです。五感を著しく制限されたオンラインで、私たちはどのようにコミュニケーションを取ればよいのだろうか。このテーマについて、自分なりに考え、様々な方と意見交換する機会を持ってきました。

オンライン環境を、そもそもリアルとは違うと認識していない。だから難しさを感じていないという人もいますよと指摘してくださったのは、人材・組織開発コンサルタントで、ご自身もリモートワークの経験が長い株式会社ガンビー・コミュニケーション 代表取締役 吉尾直記さん。「本当はそういう人にこそ、わかってほしいと思うんですけどね。」という会話から、オンラインにおけるコミュニケーションの具体的なポイントを一緒に検討しましょうと、オンライン会議を行ないました。

そもそも私が、オンラインでのコミュニケーションに感じた違和感とは何かを改めて整理すると、次のような点が挙げられます。

<リアルとオンラインの違い>
1.視線が合わない、合いにくい
2.周囲の様子、場の空気が分からない
3.隣の人とこっそり話すなど、同時多方向コミュニケーションが取りづらい
4.それぞれが多様な環境にいる
5.画面に映る情報すべてが相手への印象形成に関与していることに無自覚
6.全員が等間隔に順不同で並ぶ
7.カメラ、モニター、マイクの性能差と通信回線状況が生み出すハード的な違い

1.視線が合わない、合いにくい

人は聞き手の表情を見て話すので、オンラインでは画面上の聞き手をつい見てしまいます。カメラのレンズ位置は、通常は画面より上にありますので、うつむきがちになり、目の表情が聞き手からは見えませせん。この微妙なズレを、人間は敏感に感じ取り、視線が合わない違和感を覚えます。

話し手がレンズを見て話せば、視線が合っているような感覚を作り出すことはできますが、実際にアイコンタクトが取れているわけではありません。人はアイコンタクトによって互いが繋がり、そこに言葉を届けます。視線が合わないということは、相手と繋がった状態を感じられないまま、音声としての言葉だけが送り込まれてくるようなものですから、伝えたつもりが伝わらないのです。

2.周囲の様子、場の空気が分からない

ある場所に入るとき、ドアを開けた瞬間に感じるピリッとした緊張感。直前に激しい会話でもあったのかと感じる微妙な空気。なぜか私たちは、目に見えないはずのその場の空気を感じ取る力を持っています。それに合わせて、自分の表情を変えたり、予定していた発言のニュアンスを変えたり、順番を変えたりすることを、私たち秘書は仕事のなかで無意識に行なっています。

場の空気が分からないことは、それに合わせた対応ができないということです。一方で、場の空気に左右されないというメリットも生みます。いずれにしても、コミュニケーションに変化を及ぼす大きな要素です。

3.隣の人とこっそり話すなど、同時多方向コミュニケーションが取りづらい

例えば研修会などで、講師が話している内容が分からない時、こっそり隣の席の人に聞いて話しを確認するようなことがあります。隣の人が開いているテキストのページをのぞき見て、今ここを話しているのだと理解することは皆さんも思い当たるでしょう。会議では、発言者が話している最中に近くの席の人と、アイコンタクトでその賛否を確認し合ったりもします。

1対1であれば、相互方向のやり取りしか発生しませんが、その場に3人以上いれば、話し手と聞き手だけでなく、聞き手と聞き手の間にも、同時多方向でのやり取りが発生します。

オンラインでは、チャット機能を使うことで、個別のやり取りをすることは可能ですが、直接会話をすることでの、多方向のやり取りはできません。

4.それぞれが多様な環境にいる

オンラインでセミナーに参加すると、実に様々な場所から接続している人がいます。職場や自宅の他、出張先のホテル、カフェやファミリーレストラン、新幹線や移動中の車の方という方もいます。

職場のなかでも、会議室など他に人がいない場所から接続する方もいれば、自席からという場合もあります。自宅でも、個室の場合もあれば、家族やお子さんが近くにいる環境で接続する場合もあるでしょう。個々の事情により環境は様々です。これはリアルで、同じ場所に人が集まっていた時には、あり得なかったことです。

オンラインでやり取りされる内容によっては、環境に配慮が必要です。情報管理に注意が必要な内容であれば、周囲に人がいない環境で接続するよう、あらかじめ参加者に周知しておく必要があります。発言が求められる場合も、周囲に迷惑がかからず、自由に発言できる環境から接続してもらうなど、目的に応じた場を整えるためには配慮が必要です。

5.画面に映る情報すべてが相手への印象形成に関与していることに無自覚

テレワークだから生活感がそのまま画面に映ってしまうのは仕方ない、と思っていませんか。私たちは人と会うとき、自分が相手にどんな印象を与えるかと考えて、その場にふさわしい身だしなみを整えています。それはテレワークであっても一緒です。

むしろオンラインは、画面に映る限られた情報だけでその印象が決まってしまいます。上半身の身だしなみや、背景に映るものの印象は、自身がビジネスで相手に与えたい印象に合っているでしょうか。また、暗い画面では表情が見えず、相手に対しても失礼です。画面の明るさや見え方も、相手視点で振り返る必要があります。

6.全員が等間隔に順不同で並ぶ

リアルでのコミュニケーションでは、空間や物理距離の影響を受けます。相手に応じて最適な距離を保ち、パーソナルスペースにも配慮が必要です。また、親しい人、話しやすそうな人の近くに座ったり、親しくなるために近づいたり、意識・無意識に関わらず、私たちは“距離”をコミュニケーションに活用しています。

オンラインでは、画面上にどんな人も同じサイズで並びます。物理距離が活用できなくなる代わりに序列も生まれにくく、むしろ発言しやすくなるというメリットもあるようです。

7.カメラ、モニター、マイクの性能差と通信回線状況が生み出すハード的な違い

見え方や明るさはカメラの性能が大きく影響しますし、マイクによって声の聞こえ方、音質は変わります。通信環境が不安定だと、発言内容が聞き取れないとか、画面が止まってしまうなどスムーズなやり取りができないために、進行に支障をきたす場合もあります。

オンラインでは、画面だけの限られた情報だけでコミュニケーションを取らなければなりません。リアルであれば、五感を駆使して情報を補うことができましたが、それらがない状況でコミュニケーションをはかるためには、リアル以上の配慮が求められるのです。

相手には、どう見えるか。
相手は、どう感じるか。
相手は、どう受け取るか。
相手は、どう理解するか。

そして相手は、どう動くか。

これを想像し、先回りするコミュニケーションが、今後益々増えるオンライン環境での仕事に直結することは間違いないでしょう。


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