2月10日から2月14日にかけて、弊社の沖縄経営合宿に同行させていただきました。執行の現場から一歩離れ、経営者・経営幹部の皆さまが経営に真剣に向き合う場に同席させていただく中で、あらためて強く感じたことがあります。
それは、経営の難しさは「何をやるか」以上に、「日々の執行の風圧の中で、どこに意識と資源を配分し続けられるか」にある、ということです。
多くの企業は、直接の成果――すなわち売上や利益の改善に対して、非常に高い集中力を発揮しています。日々の受注、納期、品質、資金繰り。現場は常に動き続けており、その緊張感の中で組織は前進しています。これは企業にとって不可欠な力であり、ここが弱ければ事業は成り立ちません。
しかし同時に、経営者が日々さらされているのは、いわば「執行の風圧」です。目の前の案件、突発対応、短期数値へのプレッシャー。これらはすべて正当で重要な仕事である一方で、放っておくと経営者の時間と思考を完全に執行側へ引き寄せていきます。
ここに、ドラッカーが示した三つの領域の難しさがあります。
直接の成果は、執行の延長線上で比較的回りやすい。一方で、価値への取り組み――すなわち「自社はなぜ選ばれているのか」「その強みは将来にわたって再生産されるのか」という問いや、人材の育成といったテーマは、意識して時間を取りに行かなければ、日常業務の中で自然に深まるものではありません。
だからこそ重要になるのが、経営と執行を意識的に分離する視点です。
執行の風圧の中にいながらも、一歩引いて、自社の価値の源泉に目を向ける時間を確保できているか。人材が育ち、強みが次世代に承継される設計になっているか。ここに経営者としての仕事の重心があります。
短期の成果を回しながら、価値と人材に資源を配分し続ける。この三領域のバランスを崩した瞬間、組織はすぐには崩れなくても、静かに体力を失っていきます。
執行に追われる日常の中で、どれだけ意図的に「経営の時間」を確保できるか。今回の合宿の場に同席させていただき、その重要性をあらためて実感しました。
新宅 剛