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モノの値段を考える

小宮一慶のモノの見方・考え方
2026.05.11

先日、自宅近くのコンビニのコピー機で、マイナンバーカードを使って住民票を取ったら、なんとその値段は10円でした。コンビニに行くまでに区役所の出張所があるので、そこで取ろうかとも思いましたが、コンビニまで行ってとても得した気分になりました。区役所の出張所ではいくらするかは知りませんが、少し前に千代田区にある当社の事務所近くのコンビニで印鑑証明を取ったら200円かかったので、10円は格段の安さです。

どうやってその値段を決めているのかは不明ですが、ふとガソリンの値段について考えました。

ご存じのように、ガソリンの値段は、昨年末の暫定税率廃止で、リッターあたり約25円下がったのですが、2月末のイランでの戦争開始により、3月半ばには一時200円程度まで値上がりしました。その後、高市総理が、どういう理屈かは不明ですが、自身が首相に就任した当時の価格がリッター170円程度だったとのことで、そうなるように補助金を出し、今ではそのあたりの価格となっています。

電気・ガスにも冬場は補助金が出ており、4月以降はそれがなくなる予定でしたが、原油やLNG価格の高騰で、やはり補助金が今後出されるという予想です。

ガソリン価格が急に上がれば、車を通勤や日常生活、仕事に使っている人には大きな影響が出ます。また、運送業者さんなどにも当然大きな影響が出ますし、物流費、ひいては多くのものの値段に影響を及ぼします。しかし、一律に補助金を出すというのはいかがなものかと考えます。

エネルギー価格が上がれば、電気自動車に代える、電車などの公共機関で移動するなどの工夫が生まれます。エネルギーの節約も多くの人が当然考えます。補助金が出て元と同じ値段なら、そのような工夫は全く生まれません。CO2削減にも寄与しません。

また、財政状況が極めて悪く財源が乏しいなかでの無制限な補助金給付は、それでなくとも急騰した長期金利がさらに高まる圧力をかけます。

もちろん中には車を絶対に使わざるを得ない人たちもいます。そのような方たちで、かつ、所得がそれほど高くない人に限っては、給付金を出せばいいと考えます。とにかく一律に補助金をばらまくなどは、選挙対策としか思えません。電気・ガスの補助金も同じです。低所得世帯中心に行えばいいのです。それこそマイナンバーカードを活用して、給付金を差し上げればいいのです。

トラック業者などには、別途保有台数などに応じて補助金を支給すればいいと考えます。物流費の上昇は、他産業や国民生活に大きな影響を与えるからです。

いずれにしても、モノの値段を市場原理から離れてコントロールすることは、本来あるべき姿ではないことは明らかです。

この国は「失われた30年」と言われていますが、ドルベースでの名目国内総生産で見れば、「失われた35年」です。今の名目国内総生産はドル建てでは90年代初頭と変わりません。米国はその間約5倍、中国は20倍以上成長しています。このような状態を生んでいるのは、安易に補助金を出すことなどで、国民や企業、役所などが工夫をしなくなったことも大きいのではないでしょうか。


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