先々週末から先週にかけて、大阪、京都、神戸に合計5泊しました。途中で一度東京に戻ったので、新幹線は2往復しました。観光シーズンということもありますが、どこへ行っても大きなスーツケースを持った外国人観光客がとても多かったです。東京駅の新幹線構内では普通に歩くことさえ難しい場所もありました。新幹線の各駅では彼らの乗り降りにとても長い時間がかかることがあり、駅員が「空いている乗車口に回って乗車してください」とアナウンスしているのに何度か出くわしました。
大阪と京都では、普段泊まるホテルに泊まったのですが、料金の高さを嘆くとともに、やはり外国人の多さに驚きます。私は、朝、ほぼ決まった時間に朝食会場に行き、だいたい同じような場所で食事をします。習慣ということもあるのですが、定点観察の意味合いもあります。大阪のホテルも京都でも、朝食に来ている人たちの大部分は外国人です。
こういう光景は結構見慣れたものですが、それでも考えさせられます。「オーバーツーリズム」です。そして、その背景にあるのが「円安」です。高市内閣になり円安が進みました。高市氏が自民党総裁に選ばれた昨年10月上旬のドル・円相場は140円台後半でした。その水準でも結構円安ですが、それが今では160円近くまで円が売られています。
これでは、日本全体のバーゲンセールです。日本に来る外国人には、とてもお得でしょうが、そのせいでホテル料金が上がり、新幹線が混雑します。日本人が金銭的にも物理的にも締め出されているのです。
もちろん、円安の悪影響はそれだけではありません。輸入物価が上がります。それでなくてもイラン情勢により原油やLNG価格が高騰していますが、それに円安が追い打ちをかけています。
円安の大きな原因は、日本の金利、とくに短期金利の低さです。今年に入りインフレ率が1%台に下がっていますが、それでも現状の政策金利(0.75%)では、インフレを加味した実質金利はマイナスです。ただ、今年に入ってインフレ率が下がったのは、昨年末のガソリンの暫定税率廃止と冬場の電気・ガス代への補助金が大きな要因です。原油価格の高騰で、今後はインフレ再燃が予想されます。
これでは円が売られます。さらには、国力が低下しているので円が売られやすい状況にあります。
高市内閣でもう一つ加速したのが長期金利の上昇です。高市氏が自民党総裁に選出されたころは長期金利の代表格である10年国債利回りが1.6%台でしたが、最近では2.4%を超える水準です。国債の利回りの上昇というのは、国債が売られているのです。これも「日本売り」です。急速に長期金利が上昇するのは健全な状態ではありません。
いずれにしても、この国の安売りを阻止するためには、当面は円安を押し戻す必要があります。そのためには、政策金利(短期金利)を上げる必要があります。イラン紛争によるインフレを抑制するためにも、そして、円安を阻止するためにも、4月27日、28日に行われる次回の日銀の政策決定会合で、日銀は利上げを行うべきですが、原油高などによる経済の先行き不安も大きく、日銀は難しい判断を迫られるでしょう。
さらには、一歩踏み込んだこの国の成長戦略を策定し、実行していくべきことは言うまでもありませんが、どこまで期待していいのかは今の時点では残念ながら不明です。
いずれにしても、経済も為替レートも重要な安全保障上の問題だという認識が必要です。