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推薦図書 「マネジメント 課題、責任、実践 上巻」(P.Fドラッカー 上田惇生訳)

経営のヒント
2021.11.19

経営学の大家、ドラッカーの代表的作品です。エッセンシャル版も出ていますが、全文をカバーしたものが上・中・下の三巻出ています。中巻、下巻については改めてご紹介したいと思いますが、今回は上巻のうち、特に「第6章企業とは何か」、「第7章目的とミッション」についてフォーカスをあて、ドラッカーの考え方に触れて頂ければと思います。

 

まず、「第6章企業とは何か」では、ドラッカーは企業の目的について次のように述べています。
「企業の目的は、それぞれの企業の外にある。企業は社会の機関であり、その目的は社会にある。企業の目的の定義は一つしかない。それは顧客の創造である。」
企業の中にいると、社内の慣習やしがらみ、またこれまでの成功体験などが優先されがちになります。しかし、そんなことはお客さまからすれば知ったことではないのです。お客さまの要望やニーズに応える為に、企業は存在するのです。

 

「企業は二つの、ただ二つだけの企業家的な機能をもつ。それがマーケティングとイノベーションである。マーケティングとイノベーションだけが成果をもたらす。他のものはすべてコストである。」
企業の目的が顧客の創造であることの帰結として、企業家としての機能はマーケティングとイノベーションだと言い切っているのです。マーケティングとは「顧客が何を買いたいか」から考えるものであり、「我々が何を売りたいか」から考えるものではありません。またイノベーションとは新しい満足を生み出していくものです。

 

ここで面白いのは、マーケティングやイノベーションの成功例として、江戸時代の三井(三越)や戦後のソニーをあげています。三井は現金取引でも安い既製品を買いたいという消費者のニーズに対応したものであり、ソニーはウォークマン等により新しい満足を生み出していきました。
ドラッカーにとっては、日本企業は極めてマーケティングやイノベーションの実践者だったのです。

 

次に「第7章目的とミッション」では、まず「われわれの事業とは何か」を明確にすることの必要性を説いています。
「事業に定義が明確に理解されないかぎり、いかなる企業といえども成り行きに左右されることとなる。自らが何であり、自らの価値、主義、信条が何であるかを知らなければ、自らを変えることもできない。」

 

この事業の定義を行うにあたっては、いくつかの要素を明確にする必要があります。
それは、「顧客は誰か」、「顧客にとっての価値は何か」、「満たされていない欲求」は何であるか等を決めていくことだと書かれています。

 

この中でも顧客は誰かを決めていくことが非常に重要なのですが、ドラッカーは顧客は最終需要者たる消費者だけでなく、ほとんどの事業には二種類の顧客がいると言っています。
例えば、本書にあげられている例だと、カーペット産業にとっては、住宅に住む居住者だけではなく、住宅を建てる建設業者も顧客になっていった、と紹介されています。居住者にとってはデザイン等が重視されるのに対して、建設業者であれば売りやすさや施工のしやすさ等、顧客によって、価値だと感じられるものは変わってきます。

 

この他にもドラッカーの「マネジメント」には多くの原理原則に繋がる考え方が紹介されており、経営の実践においても大変参考になるものが多くあります。

 

もしご興味を持たれた方は、エッセンシャル版も含めて手に取って頂ければと思います。


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