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「志を高めるには、古典を読み、歴史を学び、心を大いに感動させるべし」※橋本左内の『啓発録』より

今週の「言葉」
2022.01.14

★志を立て、志を強化するための最強書

今週は橋本左内の『啓発録』(致知出版社)からの至言をお届けします。
本書は知る人ぞ知る自己啓発本。なんと左内が15歳(1849、嘉永2年)のときに著した書です。
内容としては自己を律する行動指針や考え方を定めたものです。
今を生きる私たちに何か火を灯す内容です。吉田松陰が当時憧れを抱くほどの書です。

【知って損はない名文・至言】
いま、私たちの国の在り方、リーダーや社会人としての在り方への警句ともとれる至言をお贈りします。
本書の時代背景は、現在と近似しています。当時はアヘン戦争をはじめアジアの植民地化の野心を
隠さない欧米列強がすぐそこに迫っているにもかかわらず、日本では11代将軍の徳川家斉による大御所時代と言われる平和ボケした時代でした。

 

『啓発録』(致知出版社)からの至言をご紹介します。

 

◆「祖先から受けている恩」の重みを知るべし
「今の世は余りにも覚悟の無い者に、高い禄や重い地位を与え続けている。そうでありながら、
この日本は平和で安楽な世の中が続いてきた。つくづく私たちは、過去のリーダーたちに感謝しなければならない」
「私たちの祖先はことさら国家に対して奉仕し、職責においても非常に大きな功績を成し遂げてきた。
しかし後代においては特別な手柄も無く、それなのに皆、御禄にどっぷり浸かっている。」
(上記「気を振るう」の条より、現代語訳)
正しく歴史を知り、いま私たちが在ることへの感謝が出来ているか。その先人への感謝が無ければ、
私たちが創るべき未来を良きものにするエネルギーは生まれないと感じています。
この左内の報恩感謝の考え方は、国の独立を死ぬ気で守る気概で溢れています。いまの日本国民や民間に居て会社経営や組織のマネジメントを通じてより良き社会を後世に残そうとする気概が私たちにあるのか、そう問われている気がします。そして次のように続けます。
「私たちは義に応えるためにももっと学問を熱心に学び、常に頭の片隅に忠義を置いて行動し、
生涯において粉骨砕身することで、露ほどでも御恩に報いていかねばならないのではないか」と。
「義」とは正しい考え方を学ぶ言葉として最たるもので、真心や誠実さを著します。個人的には
「世の為人の為」に尽くすことであり、吉田松陰も好んで多用した「至誠」(真心を尽くす)に通じる言葉です。仕事や人生を通じて私たちは何に真心を尽くすのでしょうか。そのことを改めて問われています。

続いて「立志編(志を立てる)」の条より、志の立て方、またその強化法について左内は次のように述べています。

 

◆「志を高めるには、古典を読み、歴史を学び、心を大いに感動させるべし」
「志を立てる近道は、やはり古典や歴史を学び、心を大いに感動させることだ。
感動したら、その内容を書き出し、壁に張り出しておこう。毎日、朝。暮れ、夜とその言葉に目を留め、
声に出して読もう。そして我が身を省察し、その及ばない点を学ぶのだ。何より、志に向かって前進する自分を楽しむことが肝要だ」
上記のように志の立て方として、古典や歴史に学ぶことの重要性を説いています。
KCクラブでも古典の紹介をさせて頂いているのはこうした思いがあるからです。
かつて岡倉天心が『茶の本』の中で確か「未来の秘密は歴史にこそある」と書いていたと記憶しています。
私たちに必要な明日へのエネルギー、次世代への思いはこうした古典、歴史の学びによるところが大きいと私も痛感しています。そして最後に、左内は志を強化するために必要なこととして次のように語ります。
「志が既に立っているならば、それに向かって勉強に励まなければ、その志は、太く逞しく育ってはいかない。行動しなければ聡明さは失われ、道徳は初心の頃に戻ってしまうのだ」と。

 

 

『啓発録』(致知出版社)の内容について下記に記載します。

 

【こんな人におススメ】
・リーダーとして志を高めたい
・自他ともに”やる気”を高めたい
・人格、人間性を高めたい
・自ら高い目標にチャレンジする自律した人間になりたい
・切磋琢磨する交友を得たい 

 

【人物】
橋本左内(1834-1859年)は同時代を生きた吉田松陰(1830-1859)と同じく、
天才と呼ぶにふさわしい人物でした。
共に井伊直弼による「安政の大獄」で25歳の若さで死去(松陰は29歳没)。
この2人が若くして死罪されることがなければ後の明治維新、近代化の流れも変わった可能性もあります。
因みに親友の一人に西郷隆盛がいます。本書を著した15歳のときに緒方洪庵の適塾でも学んでいます。

 

 

【主な内容】
『啓発録』は以下の五条から成ります。15歳で書いた内容とはとても思えませんが…。
一、稚心を去る(甘えた心を捨てる)
一、気を振るう(努力し続ける心を養う)
一、志を立てる(自分の強い思いの方向を定め、ぶれない立派な生き方をする)
一、学に勉める(人間性を高める)
一、交友を択ぶ(切磋琢磨し合う人間と付き合う)
今でいえば中学三年生に相当しますが、少なくとも先日新成人になられた皆さんにも届けたい
教訓で一杯です。

ご紹介した内容の原文を含め、このほかにも様々な至言が詰まった『啓発録』、是非ご一読いただき、
より良い未来を創造する情熱と正しい考え方を学ぶ一助として頂ければ幸いです。

 

 

▼付録:橋本左内と同世代で明治維新や日本の近代化に貢献した人物の生誕年
西郷隆盛 1828年
吉田松陰 1830年
大久保利通 1830年
寺島宗則 1832年
江藤新平 1834年
★橋本左内 1834年
近藤  勇 1834年
岩﨑弥太郎 1835年
福沢諭吉 1835年
前島  密 1835年
松方正義 1835年
土方歳三 1835年
坂本龍馬 1836年
井上  馨 1836年
五代友厚 1836年
松平容保 1836年
板垣退助 1837年
徳川慶喜 1837年
大隈重信 1838年
山縣有朋 1838年
高杉晋作 1839年
渋沢栄一 1840年
伊藤博文 1841年


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