最近、色々な企業様へのコンサルティングを実施させて頂く中で、マネジメント(経営者、及び経営陣)の正当性とは何なのだろう、ということを漠然と考えていました。
例えば、総理大臣の正当性とは何なのでしょうか。それは総選挙で国民の支持を受け、国会にて首班指名を受けた、という形式的要件のようにも思えます。しかしながら、実際には総選挙で支持を受けた後でも、内閣の政策が国民の安全や生活保障、及び幸福に繋がらないと評価されるようになると、内閣総辞職に追い込まれる事は多々あります。
そう考えると、総理大臣の正当性とは、国民の安全や生活保障、及び幸福の為に働くことと言えそうです。
それと同じようなマネジメントの正当性とは何なのだろうか、ということです。
そう思っていたところ、ドラッカー先生の名著「マネジメント」の最終項目に、まさに「マネジメントの正当性」という項目がありました。
その中で、ドラッカー先生はマネジメントの正当性について以下のように書かれています。
「正当性の根拠は一つしかない。それが組織の特性である。したがって、マネジメントの権限の基盤となるものである。すなわち、人の強みを生産的なものにすることである。組織とは、個としての人間一人ひとり、および社会的存在としての人間一人ひとりに貢献を行わせ、自己実現させるための手段である。」
下線が引けませんが、一番重要な箇所は
「人の強みを生産的なものにすることである。組織とは、個としての人間一人ひとり、および社会的存在としての人間一人ひとりに貢献を行わせ、自己実現させるための手段である。」
にあるように思います。
つまり、マネジメントがマネジメントたる正当性は、支配力の裏付けである大株主であることでも、形式要件である株主総会での選任でもなく、
社員の方々の強みを活かしてお客さま、社会に貢献して頂き、加えて社員の方々自身の自己実現を感じて頂くように働くこととなります。
まさに社員の方々がお客さま、社会貢献を通じて「働きがい」を感じてもらうことにマネジメントの正当性があるのです。
逆に言うと、社員の方々の強みをお客さま、社会貢献に活かせず、社員の方々が自己実現を感じられないマネジメントは、その正当性は揺らぐということになります。
このような基準で考えた時、皆様の企業様ではマネジメントの正当性は維持されていますでしょうか?
ドラッカー先生が提唱するマネジメントの正当性は、現代はもちろん、未来においても問いかけ続けることが必要だと思います。