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リーダーが動いたところに「道」ができる

知恵のバトン
2022.06.14

64日(土)の日本経済新聞朝刊の一面トップ記事は「出生率6年連続低下 昨年1.30、最低に迫る 少子化対策、空回り 出生数最少」との記事でした。

 

経済学的な一般論として、成熟した社会、先進国地域では産業構造の高度化により、国民の教育水準が上がり、子供一人当たりの教育費が嵩むため少子化が進む、との説もあります。

 

よく少子高齢化の未来を悲観して経済の停滞とか市場の縮小といったネガティブな未来を想起する論調を耳にします。そのお気持ちは分かります。

 

先日もお客さま企業の社員の方から、日本は人口減少だからすでに終わったマーケットだ(日本はオワコン論)、との論調を聴いて正直なところ残念な気持ちになりました。経済学の結論から言えば、人口減少がすなわち国の経済の衰退につながる、という根拠は未だに存在しません。

 

むしろ、マルサスが『人口論』でも指摘したように、人口が増えることによる問題の方が明らかです。日本の問題は少子高齢化によって若者世代への未来投資が充分にされていないことなどが指摘されます。

 

しかしマルサスは社会保障の制度が全ての原因だとする論も否定的に捉えています。若者の少ない時代は今までもありました。殊に先の大戦では310万人もの日本国民が亡くなってしまいましたが、本当に多くの1020代の若い方々が青春も知らず戦地で散華されました。乳児死亡率も高かった時代、その未来への損害は確かに大きかった。

 

しかしそのご英霊たちの遺志を継ぐようにして先人・先輩たちは高度経済成長を成し遂げました。

そして世界第3位のGDPを誇る経済大国として豊かな今があります。ややその先人たちの遺産を食いつぶしながら低空飛行が続いているところに、コロナがやってきました。

 

人口減少や少子高齢化は唯一測ることのできる“すでに起こった未来”です。ただ決まっているのは人口という数だけです。GDPだけ見れば悲観的な論調になりますが、GDPを実体経済の三面等価の原則に当てはめれば、我々の所得は我々の生産活動によって生み出された付加価値の総量を国民の数で割った数値に等しくなります。

 

つまり人数×付加価値の生産から得られる所得がGDPです。生産年齢人口が減ったからと言ってそのまま国家の衰退、経済の低迷の言い訳にはできないのです。私たちが集中すべきことは、付加価値を高める道を私たち現役世代が次世代のために敷設していくことではないでしょうか。付加価値を高めなくても豊かになる時代は長続きしません。仕事は常に付加価値を高める自助努力を要するべきで、その努力の先に、人間としての成長もあるがゆえに、次世代に道徳経済が合一した真に物心両面に豊かな社会を引き継ぐことができるのです。その土台には一つの精神が必要です。

 

マルサスは『人口論』の最後にこう語ります。「知性を育むためには、一般的な法則が絶対に必要である。二、三の例外があっても、それで否定できるものではない。いうまでもないが、一般法則は、部分的な目的のためではなく、人類の大半のために、また数世代をつうじて役だつようにつくられたものである。」故に私たちは、どんな時代に生きようが、安岡正篤氏のご遺訓の通り、モノゴトを根本的に、多面的に、そして長期的に捉え、その真知を先人が乗り越えてきた古に求め、原理原則、正しい考え方を知行合一していくことで、より良い未来に道を切り開かんとするのです。

古典には道の解釈として「正しい人間としてのあり方」を求める「実践の道」という解釈があります。その道を歩もうとする同志を一人でも多く、経営という仕事をする皆さまが得られますことを。


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