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「お客さま第一」と2つ目の意義「働きがい」との関連性

経営のヒント
2023.03.10

 弊社では常日頃、「お客さま第一」の意義を2つの点からお伝えしています。

1点目は「お客さまに良い商品やサービスを適正な価格で提供すること」、できればその会社や拠点にしかできない独自の貢献をし、お客さまから評価されること。2点目は働く人に「働きがい」を与えること、つまり、お客さまに喜んでいただくことを通じて、働く人が働きがいを感じることです。

 

この2点目ですが、「自分のしたことがお客さまに喜んで頂けたら嬉しいわけで、ひいては働きがいにつながるよね」となんとなく理解できるわけですが、エピソードを交えて両者をつなぐ要素を見てみたいと思います。

 

先日、とある開発型メーカー様の中堅・若手社員15名に対してインタビューをしたときのことです。

そのうちのある方(30代前半)は研究・技術開発部門におけるチームリーダーとして数名の部下をまとめる立場で、かつ、営業部門との調整も行う役割を担っていました。人柄も良さそうで、話し方や雰囲気作りも巧みだなと感じた方です。

その方に仕事のやりがいについて訊ねたところ、「自分はどちらかと言うと調整に長けていると思う。やりがいを感じるのは、自分が主体となって社内関係者をコーディネートし、顧客の要望(仕様・納期・コスト)に沿った製品を想定どおりにスピーディーに開発し、そして受け入れて頂いたときである」という趣旨の回答がありました。

同様の質問に対して多くの方が、「仕様に合わせて開発できたとき」「お客さまに受け入れて頂いたとき(成約、受注)」とだけお答えされるのですが、この方は自己分析をよくされておられ、話ぶりからもやりがい・働きがいにつながっている情景がありありと浮かんだのが印象的でした。

 

この方の話は示唆的で、「お客さま第一」で物事を考え実行することと、各自の「働きがい」とをつなぐ要素として、①主体的関与、②強みを活かす、③望ましい結果、の3つがあるのだろうと思います。平たく言えば、「自分の得意な部分を発揮して、社内に貢献し、そのアウトプットがお客さまに喜ばれて望ましい結果が出る」ということです。

 

まず、①主体的関与ですが、対極にある極端な例として、(程度問題はありますが)自分が全く関わらないところで自社の商品・サービスがお客さまに喜ばれていたとして、働きがいにつながるでしょうか。例えばカンパニー制を敷いているような大企業で、自分が所属しない別の産業部門が世界トップシェアだったとしても、それが働きがいにつながるでしょうか。そこには自社への誇らしい気持ちや、ライバルを意識した優越感などはあると思いますが、個々人の働きがいには必ずしも強くつながらないようにも思います。

その人自身が「関わった/関わっている」と実感できることは重要な要素と思います。

 

次の②強みの点ですが、同じ関与(=社内への貢献)であっても、「自分はこれができる/得意である」と自認していることでの関与の方が、そうでない場合に比べて働きがいは高くなるように思います。極端な例ですが、得意でないことでの関与を強いられ続けている状況を想像してみると、“やらされ仕事”にも陥りますし、それで働きがいが高まるとも思えません。

なお、各人の「強みは何か」はとても難しいのですが、自分自身ではなかなか気が付けない、あるいは、言語化しにくいものです。周囲の助けは大切だと思います。

 

最後の③望ましい結果ですが、これは比較的自明なことで、お客さまからのジャッジは(購入数量・金額など定量化されるものは特に)明瞭で伝わりやすく、つまりは自身の関与が良かったのか悪かったのか分かりやすいので、望ましい結果であるほど働きがいにつながりやすいと思います。ただし、望ましい結果でなかったとしても、結果だけでのゼロイチ評価ではなく、そこに至るプロセスも含めた評価、特に②の強みがどう活きたのかそうでなかったのかも含めて明確にすること(例えば上席者が本人に対して的確にフィードバックするなど)が働きがいにつながりやすいと思います。

 

これら3つの要素について、仕組み・仕掛けとしてどのように具体化していくのか、考えてみて頂ければと思います。

 


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