出典:「LISTEN」ケイト・マーフィ著(日経BP)
皆さんは、人の話を本当の意味で聴けていますか。私は残念ながら聴けていません。
もちろんそのままでいいと思っているわけではなく、改善に向けて努力をしている最中です。そのような中でご紹介いただいた本に「LISTEN」があります。
さて、人の話を本当の意味で聴くとはどのようなことを言うのでしょうか。
この本で紹介されている聴き方は本当の意味で、脳のキャパシティーを全て相手に注ぐという聴き方です。
誰かと話をしているときに、自分の頭に浮かんだ考えに気をとられてしまって、相手の話が入ってこなくなったような経験は誰しもあろうかと思います。
本書によると、この時に会話が耳に入ってこない原因は、話すことと思考することの違いにあると言っています。
人の思考は話すよりもずっと早いので、人の話を聞くだけでは脳の処理能力のうちほんのわずかな部分しか使わないそうです。
そのため、人の話を聞いているうちに、「次に、どんな言葉を返そうか」、といったようなことを考えながら話を聞いてしまうのです。
私自身も、コンサルタントとしてお客さまからのご相談に対しては、それを聞いている中で、どのような答えをすれば相手のお役に立てるのかを考えながら聞く事はありますし、場合によってはそうあるべきだと考えています。
しかしながら、相手との信頼関係を築く時や、相手のことを本当に理解するという意味でのコミュニケーションにおいては、次に何を話そうかと思って聞くよりも、相手が話すことや、相手の表情や仕草や話す相手から発せられることを察知するために、脳の全力を使って聴くことを推奨しています。
人の話を聞くということにも様々な場面があると思います。常に、脳のキャパシティーを相手にだけ向けていたら、生活が成り立たないと言う方もいらっしゃると思います。私自身もそれでは仕事が成立しないと考えています。
コンサルティングの現場で、会議の中でこのような聴き方を試した時があったのですが、会議体の中では、限られた時間でお客さまのお役に立つ発言が求められるため、パフォーマンスが下がってしまったと感じました。修行が足りません。このような場合には、やはり話を聞きながら、次の発言に向けて、脳のキャパシティーを使う必要があるのだと認識しました。
しかし、全力を向けて、相手に集中するべきときは、そのような聴き方をすることによって、予想以上に相手の理解が進みます。
当たり前ですが、そのような聴き方をした時は、相手が話終わってからすぐに何か返答することができない場合が多いです。本書では、相手が話し終わってからすぐに返答できない姿勢を示すことも、相手に対する誠意を示すことであると言っています。
私たちは様々な場面で相手のことを深く理解すること、相手との信頼関係を構築する必要があります。それは仕事だけではなく、家庭の中でも友人関係の中でも言えることだと思います。
これからの変化の激しい時代に、限られた視点だけで経営判断をする事はリスクを伴います。衆知を集めて、効果的な意思決定を行うためにも、組織的にも相手のことを深く理解し、信頼関係を構築する連鎖を作ることが欠かせません。
組織のメンバーが、それぞれ主体的に相互に信頼関係を持ってコミュニケーションが取れる土台を築くこと、それがお互いを深く理解することなのだと思います。様々な場面での使い分けが必要でしょうが、本当に相手を理解する聴き方が大切であることは間違いないでしょう。
私自身もできておらず、修行中の段階ではありますが、相手に全集中する聴く姿勢ということで紹介をいたしました。
ぜひ、「お前こそ頑張れよ」と言っていただければと思います。笑
皆さまの参考と関係構築に少しでも貢献できればと思います。