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ソンタク文化のリスク

経営のヒント
2024.05.23

「忖度する」という言葉の意味は、「相手の心中をおしはかること」「おしはかって相手に配慮すること」いうことだそうです。英語には翻訳が難しい、日本語らしい言葉の一つです。

ですが、これが会社のなかで使われるときは、少し違う意味合いを帯びるようです。
主に、目上の人に気を使い、その意向を推測し、先回りして自身の言動をその意に沿って修正するという意味で使われるように思います。

トップダウン型の組織や、年功序列の組織など、上下関係がより強調されている環境では、この「ソンタク」がより強く働くことが多いように思います。
日本企業で古い価値観が残る企業を最近「JTC」(Japanese Traditional Companyの頭文字)と呼ぶ風潮があるようです。個人的にあまりこの括り方は好きになれないのですが、JTCとして言われる古い体質の一つとして「ソンタク」が働きやすいことが挙げられます。

先日ある企業の方から、本当は若い世代がもっとうまくやれることも、上司にソンタクして、上司に花を持たせているため、変化への対応がなかなか進まないという話を伺いました。
皆さまの会社でも、本当はもっと良いアイデアや意見を持っている従業員が「ソンタク文化」を感じて、その意見を封じてしまっていることはないでしょうか。

 「星のや」「界」「OMO」など、新しい宿泊体験を次々に提供している星野リゾー代表の星野佳路氏は、「フラットな組織文化こそが競争力の源泉」という信念を持たれていることで知られています。
星野リゾートでは、役職に関わらず全員が「さん」づけで呼ぶことや、経営情報への平等なアクセスなどを通じ、全員が自分の意見を提案できる環境づくりを徹底的に追求されています。そして星野氏は、フラットな組織文化の実現を行うには、ただ自由を与えることではなく「トップの強力な意志と、ルールや規律が欠かせない」ということを仰っているのも非常に興味深いポイントだと思います。

加速度的に外部環境が変化する時代を乗り切っていくには、あらゆる世代、様々な立場や背景の社員さんの知恵、つまり衆知を集めることが必要であると考えます。

規律や伝統という素晴らしい会社の文化は、一歩間違うと「ソンタク」文化に陥ることがありますが、トップにいる人が自覚的でなければ如何ともしがたいものです。知らず知らずのうちに、自社が「ソンタク文化」に陥っていないかどうか、トップ自らそのリスクを定期的に点検したいものです。


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