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「国民をバカにする政治資金規正法改正に見る政治家のいい加減さ」

小宮一慶のモノの見方・考え方
2024.05.28

自民党のパーティー券裏金問題に端を発した政治資金規正法の改正案が与野党から提出されていますが、国民をバカにするのもいい加減にしろと思っておられる方も少なくないと思います。

まず、与党案ですが、これも自民党と公明党とでは内容が違っていますが、その違いなどたいした話ではありません。パーティー券購入者の開示に関して「10万円以上」、「5万円以上」で自民党と公明党がもめているのは、アホらしくて見ていられません。企業は1円単位で売上高を計上し、小売業以外ではお取引先名もすべて記帳しています。面倒くさいインボイス対応も、そして今般、また訳の分からないやり方での減税処理の対応を政府は企業に求めています。こちらも1円単位での厳密な対応が必要です。

国民から選ばれて、税金を給与としてもらっている国会議員がどういう神経でこういうあいまいな開示の議論をしているのでしょうか。企業も10万円か5万円以下の収入なら適当に記載し、インボイス対応も、ふざけた減税処理も適当にやっておけばいいということでしょうか。国民はそれほど甘くはないので、政治や政権に対する不信が広がるだけです。

政治にお金がかかるというのなら、それを正々堂々と主張し、かつ政治資金の収入も支出も、資金提供元も資金の使途も含めて、こちらも正々堂々ときちんと開示をするべきであることは言うまでもありません。やましいことがなければやれるはずです。それをやらないのはやましいからだと疑われても仕方がありません。

一方、野党もぼろぼろです。立憲民主党は、政治資金パーティーの開催を禁止する法案を提出していながら、幹部が政治資金パーティーを開催するといい、マスコミから厳しい批判を受けると、「やはりパーティーはやりません」という、あまりのずさんさに開いた口がふさがりません。私はセミナーなどでよくお話しますが、儒教の徳目でもある「信」という字は「人」の「言葉」と書きます。言ったことを守らないなどというのは信用をなくすことです。リーダーである政治家ならなおさらです。

自民党も政治資金の流れを国民に知らせたくないという意図が見え見えですが、野党もいい加減であることを自ら露呈しています。また、立憲民主党の前身の民主党は、自民党から一時政権を奪取した際には、あまりにもレベルが低く、日本経済がボロボロになった上に、東日本大震災での対応が非常に悪かったことを、多くの国民は忘れていません。その幹部が未だに党内に残っています。

うがった見方ですが、与野党ともに、今国会での政治資金規正法改正を行わないつもりなのでしょうか。しっかり議論しているふりをして、会期末を迎えて廃案にするというのが本音ではないかともこの状況では思ってしまいます。法律が改正されなければ今のままで、国会議員は誰も損しないわけですからね。あるいは、一番骨抜きの自民党案を野党は反対しているふりをして通すのでしょうか。いずれにしてもそれでは何も変わりません。

政治や政治資金が今のままで良いはずはありません。

自民党にも野党にもまともな政治家が少なからずいることを私は知っています。この国の現状では、日米同盟を基軸とした保守がもっとも望ましいと私は考えていますが、金権や権益にまみれていない一部の自民党の議員たちと、野党の中でも健全な保守を目指しているクリーンな人たちが集まり、国民の信用を得て本当に政権を任せられるような新政党を結成してくれることを心から願っています。

【小宮 一慶】


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