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「経営者の軸」について

経営のヒント
2024.05.31

今回は「経営者の軸」について考えてみたいと思います。

「経営者の軸」とは、経営者個人の思いであり志です。会社のミッション(経営理念)とは異なります。

ミッション(経営理念)は、いろいろな定義がありますが、平たく言えば会社の存在目的です。
経営者は教祖ではなく、宣教師であると言います。ミッション(経営理念)やビジョン・ウェイを宣教師として伝えていく存在であるということです。 
言ってみれば、経営理念がキリスト教であれば、経営者の軸とは、宣教師としての例えばフランシスコ・ザビエルの思いであり志です。 

なぜ、「経営者の軸」という表現を使っているかというと、経営者の方の思いや志は様々な表現がありますが、会社の経営に携わる上で決めておきたい骨格を表現するために「軸」という表現がしっくりくるからです。

軸(まっすぐな棒状のものをイメージしてください。)には、以下の三つの要素があります。

①方向・・・これは考え方の正しさを示しています。どのように強い思い、志であったとしても、自らの特有の使命(企業であればお客様のために差別化された商品サービスの提供)を果たし、仕事を通じて働く人を活かす、そして社会課題への貢献といった正しい方向に向かっていなければどうにもなりません。お客様第一や、社員の幸せ(働く喜び・経済的な喜び)といったことに常に向き合っていくことが必要です。
それ故に、経営者は学び続ける必要があるのだと思います。 

②太さ・・・これは貢献の幅を示します。お客様への貢献の尺度、どれだけ選ばれたかの尺度として売上や利益で表現されるものです。上記①の方向が正しいのであれば、私はこの「太さ」はこだわる必要があるものと考えています。正しい目的に向かって貢献する尺度が大きいことが、社会貢献につながるからです。

一方で、日本の社会に目を向けると人口構造の減少、高齢化率の上昇による市場縮小とそれに伴う社会保障・医療費の負担などによる将来不安からの消費意欲の減退、という抗いがたい外部環境があります。その中で、日本だけを市場としてやみくもに貢献の尺度の拡大(売上・利益)を目指すことが上記で言う「特有の使命」を果たすことにつながるのか、ということも意識する必要があります。
また、①の方向が間違っていると、②で売上や利益を追求するほどに害悪をまき散らしてしまうことになりかねません。

③長さ・・・これは貢献の長さを示します。どれだけの期間、貢献をし続けることを望むか、ということです。とはいえ、それが100年なのか250年なのかといったことというよりは、むしろ、「自分の世代を明確に超えて貢献をし続けることを望むかどうか」という点がポイントです。 

なんとなく、意識はしているかもしれませんが、明確にこの3つを「経営者の軸」として意識したときに、経営理念の見え方や、そのさきの会社の方向付けに与える影響も変わっていきます。
様々なお客様の中でも大きく発展している会社は、この経営者の軸がしっかりとしていて、軸の太さや長さが明らかです。
もちろん、単純に規模が大きければいいというわけではありません。規模を追求せずに、しっかりと軸を持って存続することで地球の自然の大切さを社会に伝え続けるというミッションをもっている会社も存在します。

経営者やリーダーとしての皆さんには特に、是非折に触れて、自らの「軸」を考える機会を持つことをお勧めします。
また、そのような立場でなくとも、人は少なくとも自分自身の人生のリーダーです。そういった自分自身の「軸」を見つめてみることも時に必要ではないでしょうか。

自らの「軸」を自覚して、それを磨き続けることで軸は変化していくことでしょう。この「軸」は経営者であれば会社の、チームのリーダーであればチームの、個人であれば個人の人生の器を決めます。軸の成長によって器も変わっていきます。

この軸は意志であり、確かにその軸がそのまま実現することはないかもしれませんが、会社の方向付け(経営戦略)においては、その軸・意志が土台にあることによって取り組む熱意が変わります。難しい局面に陥ったときにも、それをなんとか乗り越えようとするか、または、あきらめて目標を低くしてしまうか。
会社の方向付け(経営戦略)は、描いたとおりにうまくいくことなどほとんどの場合ありません。
そのため、土台に経営者の軸があり熱意が乗っかっているかによって、会社の方向付けから生み出される成果も変わります。

是非、ご自身の考えを「軸」という、「方向」「太さ」「長さ」という切り口で考えてみていただければと思います。


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