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『経営者目線をもっと持て』だけでは逆効果

今週の「言葉」
2024.05.31

■はじめに

「経営者目線をもっと持て」は、社長ほか現経営陣が次期幹部候補あるいはミドルマネジメントに対して使われることも多く、たとえ言葉に出さないまでも、あるいは、表現は異なれど、趣旨としてこのように思う場面は多々あると思います。
これを思うということは、ご自身に何らかの「経営者像」(経営者はこうあるべき)があって、それを幹部や部下が満たしていない/ギャップかあるということだと思います。
こうした状況において、「トップである自分を見習って、学んでよく考えて実践してください/ギャップを埋めてください」と言いたいところだと思いますし、お気持ちはわかりますが、実際に「経営者目線を持て」を掛け声的になさってきた方は、効果はどうだったでしょうか。

■部下たちは内心、困惑しているかもしれない

発破をかけるべく様々な場面でお使いの場合、部下たちの困惑を招いている可能性もあります。彼らは内心、次のように思っているかもしれません。
・「何か問題が起こったときに、都合のよい言葉として使っているように聞こえる」
・「経営者のような言動を期待するのは理解するが、具体的に何をどうしたらよいかわからない(だから実行できない)」
・「実行できるようにするために、自分をどう成長させたらよいかわからない」 

加えて言うならば、「都合のよい言葉」などのネガティブな解釈が蓄積すると、困惑を通り越して冷ややかな状態にもなりかねません。

■「経営者目線の獲得」にどうアプローチしたよいか

「目線獲得」という目標に向けて、部下たち本人が行動するのはもちろんのこと、実は経営者側にも大切なことがあります。

<経営者側>

1.「経営者像」を明確にし、日々伝達する
2.経営者自らが実践している行動とその理由を開示する 

1点目は、どのような状態を期待しているのかを明らかにし、彼らに目標を与えます。明確化される「像」には、具体的場面での行動例があると望ましいと思います。たとえば、「視座を高く持つ」では、具体的にどのような場面や問題対応のときにどう考え、どう行動したらよいのか。「内(社内)にこもるのではなく、積極的に外にでる」では、「外に出る」とは何をすることなのか等。
2点目は、「像」に近づくために自己開発するための方法例を与えるものです。

<本人側>

1.「経営者像」に近づくための基礎を体系的に学ぶ
2.実践を「習慣化」する 

「わかる」と「できる」は異なるため、<経営者側>での内容をわかったうえで、実践していけるための能力向上を目指します。
1点目は、「経営」という仕事の実務に求められる基礎的知識(教科書的なもの)を多少なりとも習得することもそうですが、「経営とは何か」を学ぶことに始まり、主体性、周囲を巻き込む力、課題発見力、創造力、計画力、発信力、傾聴力など高め、発揮していく方法を知ることです。
2点目は、日々の実践を促すためのもので、たとえば、外に目を向けて自社の外部環境を知るために「毎日、新聞を読む」などを癖付けすることです。「一人PDCA」として毎日就業後にその日を振り返るなどもあるでしょう。 

会社としては、<本人側>のことを実行できるための場や機会を意図的に設けることが肝要です。上記を一度に推し進めることは難しいかもしれませんが、このように分解した一部でも実行することで、「経営者目線をもて」とだけ伝えていくコミュニケーションよりは前進しやすいものと思います。

なお、当社でも経営幹部向けの養成講座や、経営に求められる「基礎力」を身に着けてもらうための訪問型研修などをご用意しております。詳しくお知りになりたい方は、お問合せください。


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