7月3日に新紙幣が発行されました。皆さんはもう手に入れましたでしょうか?私は妻が郵便局で入手したというので3種類とも1枚ずつ入手しました。紙幣を傾けると肖像の顔の向きが変わる3Dホログラムや指で触って券種を識別できるユニバーサルデザインなど実際に見てみるとちょっとした感動を覚えます。あと数ヵ月もすれば珍しくも何ともなくなるのでしょうが、財布の一番奥に大切に保管しています。
新紙幣発行に伴い自動販売機、ATM、セルフレジなどの入替が進み、経済効果は約1.6兆円と言われています。しかしこのタイミングで新紙幣対応の機器更新をせずに現金の取り扱いをやめる店舗が出てきているようです。
経済産業省が発表した2023年の日本におけるキャッシュレス決済比率は39.3%。2022年の36.0%から3.3ポイント増加、コロナが発生する2019年の26.8%から12.5ポイント増加しています。2019年6月に閣議決定された<成長戦略フォローアップ>で2025年6月までにキャッシュレス決済比率4割を目指しという政府目標も達成が見えてきました。
確かに最近は現金を使う機会がめっきり減りました。コンビニなどの少額決済はPayPayのようなQRコード決済、交通機関はパスモ、飲食店やスーパーなどではクレジットカードが中心で日常的に現金を使うことはありません。キャッシュレス決済はポイントが貯まるので、キャッシュレス決済ができない店舗以外で現金を使うことはほとんどありません。現在ではお小遣いも半分はキャッシュレスで貰っています。
経済産業省は『キャッシュレスの将来像に関する検討会』にて、「消費者の利便性向上」「現金決済に係るインフラコストの削減」「業務効率化/人手不足対応」「公衆衛生上の安心の実現」「現金の保有や取引機会の減少による不正/犯罪の抑止」の 5 つを社会的意義と定めています。
「消費者の利便性向上」という視点でいうと、ちょっとした外出であれば財布を持たずに出かけることも増えましたし、現金を引き落とす頻度も減りました。レジでの支払いもスピーディーになってスムーズです。
「現金決済に係るインフラコストの削減」については、現金決済インフラを維持するためのコストは年間2.8兆円と試算されており、キャッシュレスの推進により銀行の運営コストや流通・サービス業でのレジ決済関連コストなどの削減に繋がります。
「業務効率化/人手不足対応」では、現金決済があるために釣銭の用意・レジの操作・売上金の集計・売上金の保管や入金など、多くの業務が必要となり、キャッシュレス推進によりその人手を削減できます。
このような観点からもキャッシュレス決済が進むメリットは大きいことが分かります。
現金決済が少なくなれば、新紙幣切り替えの意義が減るため、偽札防止の新技術に感動する機会も無くなるかもしれませんが、社会負担の軽減という視点では今回の新紙幣発行がキャッシュレス化推進のきっかけになれば良いなと感じています。