皆さんご存知の通り、10月27日に総選挙が実施されます。今後、約3週間に渡り、各党は支持を求めて政策を訴えていきます。
選挙においては、国民は各党の公約を確認し、政策に共感できる政党、候補者に投票することとなります(実際にはその他の要素も含めて投票することとなりますが)。
そこで、今回は各党の公約等で掲げられている中小企業に関わる政策についてみていきます。
なお、紙幅の関係で全政党のご紹介は難しいため、解散前の衆議院の議席数が多い、自民党、立憲民主党、日本維新の会、公明党に絞ります。また、10月8日時点では自民党の公約が発表されていないため、自民党は24年に入り公開されている政策パンフレットを参考とします。
自民党は、政策パンフレットから、昨今の物価上昇に対して所得を上げる「賃上げ」の実現を経済政策では重視していることが分かります。
そのため、中小企業が賃上げを行いやすい環境づくりに重点が置かれています。
具体的には、賃上げ実施した時の減税措置などの「賃上げ促進税制の強化」や下請けGメンの倍増などの「価格転嫁対策の強化」です。
また、中小企業の生産性を高めるため、キャリアアップ助成金の拡充も提示しています。
自民党については今後、総選挙に向けた正式な公約が発表されますが、これまでの経緯から政治資金関連にフォーカスがあたることも予想されます。
立憲民主党の公約では、中小企業に関わる政策について、次のような記載があります。
「中小企業憲章の理念に基づき、産業・雇用の中核的な役割を担う地域の中小企業を育て、地域資源を生かした事業への投資を促進し、事業継続、生産性向上、新事業の創出、事業承継などへの支援・拡充を総合的に行います。」
上記のような方針はあります。ただし、正直、具体策は見えてきません。
なお、立憲民主党も次のような表現で賃上げの実現を目指しています。
「最低賃金を1500円以上とし、適切な価格転嫁等により、労働者の賃金の底上げを実現します。」
「リスキリング、リカレント教育など、徹底した「人への投資」で賃上げを支援します。」
価格転嫁、教育投資による賃上げという点では、自民党と大きな差がないように感じます。
日本維新の会は公約で4大改革を掲げていますが、その3つ目の「可処分所得を倍増させる減税・成長戦略・規制改革」では、次のように書かれています。
「労働市場の流動化や、ライドシェア問題に象徴される既存産業への参入障壁撤廃など、既得権に囚われない大胆な規制改革で経済を成長させ、給料を飛躍的に伸ばす。」
価格転嫁や教育投資に重点を置いていた自民党や立憲民主党と比べ、日本維新の会は規制緩和等により経済を活性化させ、その結果として賃上げを実現する、としているところに特徴があります。
最後は公明党の公約です。公明党も物価高克服を最重点事項としたうえで、その解決に向け、「価格転嫁が難しい福祉事業者等や中小企業への支援」
「サプライチェーン全体の適切な価格転嫁の定着」
を掲げています。価格転嫁により所得向上、賃上げを実現しようとする点は、自民党や立憲民主党と共通しています。
各党の公約等を振り返ると、自民党、立憲民主党、公明党は価格転嫁、教育投資の推進により賃上げを実現する、としているのに対し、日本維新の会は規制緩和等による経済活性化で賃上げを実現する、という違いが分かります。
もちろん、表面的に同じようにみえる自民党、立憲民主党、公明党の間でも、どこに力点を置くかにより、具体的な政策内容は異なることもありえます。
なにより、公約は実際に実行されるかどうか、という信頼感も、投票先を決める際には重要になります。公約の内容、またこれまでの実績なども踏まえ、納得できる投票をして頂ければと思います。