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振り返る

小宮一慶のモノの見方・考え方
2021.03.09

新型コロナウイルスが日本にも蔓延するようになっておよそ1年が経ちます。コロナウイルスだけではないですが、何かあったときは振り返ることが大切です。3月末に年度末を迎える会社では、来期の経営計画作りも最終盤を迎えていると思いますが、その際にも、今期の状況をある程度正確に振り返ることが来期の計画作りには大きな手助けとなることは間違いありません。

逆に言えば、振り返りを行わないということは、経験が積み重ならないということです。これは事業計画だけではなく、人生においても同じです。論語に「吾、日に吾が身を三度省みる」とありますが、自分のやっていることを振り返るということは、とても大切なことなのです。私は、東京にいるときは、寝る前に三年連用日記を書き、松下幸之助さんの『道をひらく』を読むことを習慣にしており、もう29年それを続けていますが、一日を振り返る習慣を持つことはとても有用なことだと思っています。

そして、振り返る際には、吾が身のどこを変える必要があるかということを考えることも大切です。とにかくうまくいかないときには、「だれだれが悪い」、「世間が悪い」等々、自分以外にその原因を求めがちですが、他人や世間を変えることは簡単ではありません。もちろん、本当に自分以外がうまくいかない原因のこともあるでしょうが、それでも、自分の何が足りず、自分として何をするべきかということを考えたほうが、結果を変えるには早いと思いますし、自分自身も進歩します。会社の経営計画も、世間のことを嘆いても何も変わらず、自社をどう変えるかを考えるのが通常です。

私の好きな本のひとつに『ビジョナリーカンパニー② 飛躍の法則』(J.C.コリンズ著、日経BP社)がありますが、その中で、飛躍的に業績を伸ばした経営者の特色として「うまくいったときには窓の外を見て、失敗した時には鏡を見る」というものがあります。うまくいったときには「窓の外」を見て自分以外に成功要因を求める。一方、失敗した時には「鏡」を見て自分のどこが足りないかを考えるということです。松下幸之助さんも「うまくいったときには運が良かったと思え。うまくいかないときには自分を省みる」ということをおっしゃっていますが、同じことです。自身を省み、それにより自分をどう変えるかが大切なのです。

コロナウイルスに対してワクチンの接種が始まりましたが、しばらくはウイルスの影響が残ることになります。今年中ぐらいは影響が残ると考えたほうがいいでしょう。そして、この1年間のことを振り返り、今後、自分たちとして何かすることのヒントをつかんでください。その際には、他社や他国の事例なども大いに参考になると思います。振り返る、そして他社、他国事例を参考にする、いずれにしても、やはり、素直さ、謙虚さがないとできないことですね。

【小宮 一慶】


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