来週15日、16日に日銀の政策決定会合がありますが、市場関係者の多くは、0.25%の利上げをするだろうと予想しています、私もそう考えています。現状、0.75%の政策金利(コール翌日物;1日だけ銀行間で貸し借りする金利)が1.0%になる予定です。
理由はいくつかあります。ひとつは、インフレ再燃がすぐそこまで迫っていることです。消費者物価上昇率が、今年3月が1.8%、4月が1.4%と数字的には落ち着いており、日銀の目指すインフレ率の2%より低い状態が続いていますが、それでも日銀はインフレをかなり警戒しています。
この3月、4月の数字は、ガソリンへの補助金が入った数字です。一部は、電力・ガスへの補助金も影響しています。補助金のない場合には、日銀は消費者物価の上昇を2.8%と推計しています。
事実、補助金の出ていない米国では、今年1月、2月がそれぞれ2.4%とかなり落ち着いた消費者物価上昇率だったものが、イラン戦争以降の3月が3.3%、4月が3.8%と急騰しています。4月の米国の卸売物価はなんと6%です。ユーロ圏も1%台だった消費者物価上昇率が3%を超えています。
日本でも消費者物価上昇率が上がることが予想されています。ガソリン、電気・ガスに補助金が出ていても、それ以外の石油由来商品の値段はかなり上がっています。各業者とも、値段は少々高くとも数量の確保に躍起だからです。企業物価(卸売物価)もイラン戦争前は2%台で落ち着いていましたが、4月には4.9%まで上昇しています。そして、その影響が、そろそろ消費者物価にも出てくる頃です。
その点においても、政策金利の利上げが急がれます。
インフレは、せっかくここ4カ月プラスになった実質賃金(賃金上昇率からインフレ率を引いたもの)を再度マイナスにすることになりかねません。国民生活が貧しくなるのです。その意味でもインフレを抑える必要があります。
また、米国、欧州ともに先ほど見たようにインフレ懸念が再燃しており、米国の中央銀行であるFRB、欧州中央銀行(ECB)ともに、今後の利上げが取りざたされています。そうすると、それでなくとも円安傾向が続く可能性があり、その点においても日銀は利上げが必要になります。日本は、現状、インフレ率が短期金利を上回る、つまり「実質金利」がマイナスの状態が続いており、円安に進みやすいのです。
一方、日本ではガソリンなどに補助金が出ています。それを続けるために補正予算が3.1兆円組まれました。私は一律に補助金を出すことに反対です。高級車を乗り回している人にまでガソリンの補助金は不要でしょう。一律の補助金ではなく、低所得者層とトラック業者などにメリハリをつけて補助金を出すべきです。補助金の大盤振る舞いのせいで、財政悪化懸念から10年国債利回りが、一時2.8%まで上昇しました。高市政権発足時は1.6%程度でしたが、このところ急上昇しており、企業経営にも影響が出始めています。
ここまで述べたように、政策金利(短期金利)の上昇は避けられませんが、補助金乱発で長期金利まで上昇させるのは得策ではないと考えます。
いずれにせよ、イラン情勢と政治、金融の動きからは目が離せません。
小宮 一慶