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ロシアのウクライナ侵攻と中国、台湾情勢

小宮一慶のモノの見方・考え方
2022.03.08

ロシア軍がウクライナに侵攻しました。多くの方が言っているように、力による現状変更は許されることではありません。私ももちろん、容認できることではないと思っています。

 

そして、今後のことで注意しないといけないことがいくつかあります。

 

ひとつは、この後、ウクライナとロシアの間で停戦が決まるかもしれませんが、戦闘が収まっても、世界、とくに欧州での緊張は和らぐことはなく、むしろ高まったままではないでしょうか。NATO加盟国はロシアに対する防衛力を高めるでしょう。NATOに加盟しないスェーデンやフィンランドも防衛力を高めることは容易に想像できます。フィンランドはロシアの隣国です。これまではある意味緩衝国でしたが、軍備強化やNATO寄りとなれば、ロシアとの緊張は高まります。

 

また、ジョージアなどの旧ソ連圏に属する国も、EUへの加盟申請に傾いています。もちろんEU加盟には現加盟国すべての承認が必要ですが、ウクライナ紛争がある程度の落ち着きを見せた後も、ロシア対その他の欧州諸国という対立構図はより鮮明となり、ロシアの孤立がより一層際立つのではないかと考えられます。

 

プーチンが政権内部の崩壊や国内の反戦運動の高まりなどで失脚などでもしない限りは、緊張は高まったままでしょう。

 

私の人生の師匠の曹洞宗円福寺の故藤本幸邦老師は、「物事というのは行きつくところまで行かないと変わらない」とおっしゃっていたことがありましたが、そうでないことを願うばかりです。

 

1979年に旧ソ連がアフガニスタンに侵攻して以来アフガン情勢が大変不安定になり、その状態が今も続いているのはご承知の通りですが、ウクライナやその近隣国でもそれが起こりかねません。

 

もうひとつは中国の動きです。今回のロシア侵攻に関しては、比較的おとなしい立場をとっていますが、習近平は昨年に「6年以内に台湾を統一する」と公式に表明しています。安定した平和な状態が続けばいいのですが、そうでなければロシア同様、台湾海峡を中国軍が超える軍事行動を採る可能性もあります。そのときに米国が台湾防衛に動けば、沖縄など日本にある米軍基地からの攻撃も高い確率であり得ることです。そうなれば、日本も戦争に巻き込まれることになりかねません。

 

そこまでひどい状態にならなくとも、台湾を無理にでも統一すると、極東アジアの緊張は一気に高まり、今回のウクライナ同様、中国包囲網ができる可能性もあります。事実、今でも、米国、日本だけでなく、インド、オーストラリア、英国なども中国と対立を深めています。

 

そういう意味で、今回のウクライナ紛争での中国の動きには注意が必要です。来るべき台湾統一をにらみ、また、新疆ウイグル自治区やチベット自治区、内モンゴル自治区の問題を抱える中国政府がどういう動きをするかは今後を占うひとつの試金石となるからです。

 

そして、今後まず起こりうることは、直近ではロシア経済が欧州経済や西側経済から切り離される可能性があるということです。エネルギーや希少金属などの領域で、ロシアなしの世界経済のあり方への模索が始まっています。それ以外の業種でも短期的か長期的かは今のところ不明ですが、工場の停止や撤退の動きも広まっています。

 

そして、中国が同じように強権を発動し始めたら、中国に対するけん制や中国の孤立化がさらに強まることとなります。これは、日本経済にとってもとても大きな問題となります。

 

ウクライナは、日本から離れてはいますが、そう遠くない未来の極東アジアの状況なのかもしれません。いずれにしても、平和が早く訪れることを願うばかりです。


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