「貧しくて怨む(うらむ)無きは難く、冨みて驕る(おごる)無きは易し。」
(貧しくて生活が苦しいときは、人や運命をうらまないのは難しい。しかし、金持ちで威張らないのは、比較的易しい。)
出典:「論語」
SDGsの第一目標に「貧困をなくそう」が掲げられていますが、その目標実現の大事さを実感させる論語の一節です。
人は貧しい状態が続くと、情けない気持ちになり、他人や運命を怨みやすくなる、というものです。
実際、無差別殺人等、近年増加している悲しい事件の背景に貧困が背景にあることも少なくありません。また、二極化の中で聞かれることが多くなった親子心中なども経済的理由が背景とされることがあります。
子供の頃から貧困を経験することは、その後の行動様式に影響を与えることもあると思います。
もちろん、苦しい経験をしたからこそ人の痛みが分かるという人も多くいらっしゃいます。一方で、苦しい経験をしたことが、その後の人格形成を歪め、他人を傷つけることもあります。
貧困に陥ることは努力が足りないからであり、その人の自己責任と考える人も多いと思います。
確かに努力した人が努力した分報われ、努力しない人はそれ相応の報酬、対価となることは公平性の視点からも妥当と考えます。この原理が働かなくなったら、社会も活性化しません。
ただし、リーダーとなる人が、個々の人間の強みを活かし、お客さまや社会に貢献できるように導くことで大きな富を生み出し、貢献に応じて適正に個人に還元できるような国家、社会、組織を作ったならば、人は一定以上の努力を行い、結果として大きな貧困問題は発生しないのではないでしょうか。
この論語の言葉にもあるように、人々が金持ちになって傲慢となることを心配するよりも、貧困が蔓延して心がすさむことを心配すべきだし、それを防ぐのがリーダーとなる人の一番大きなミッションではないでしょうか。