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変化の激しい時代における外部環境分析の役割と組織の姿勢

経営のヒント
2022.11.25

今回は、「変化の激しい時代における外部環境分析の役割と組織の姿勢」について述べてみたいと思います。

 

・外部環境分析・予測の限界

 

コンサルティングの現場でお客さまと経営戦略を検討する際に、外部環境分析を行うことが多いです。一方で、外部環境分析は、過度にのめりこみすぎても意味のないこともあります。例えば日本のGDPを詳細に予測したところで、会社の経営にとって重要な示唆が得られなければ単なるお勉強でしかないのです。

複雑系な経済を、複雑なまま理解することによって思考力を鍛えることは大切ですが、会社の方向付けにおける外部環境分析の勘所は会社によって異なります。

 

結局、「未来は神のみぞ知る」というところで、実際に予想した通りに外部環境が変化するとは限らないからです。逆に詳細に検討したものが実際に来ると信じすぎて、未来に対して硬直的な思考しか持てなくなってしまうことが問題です。

例えば、来年も日本が金融緩和を継続する、といったことなどはやはりわからないわけです。それを、来年も金融緩和が継続するという硬直的な前提に立って、設備投資の判断を先送りした結果、金利が上がって資金調達コストが上がってしまう可能性もあるわけです。次期日銀総裁次第、米国などの景気動向次第、であったりするのです。

 

〇〇次第と言うものが多すぎるのです。だからこそ、大切なことは未来を当てに行くのではなく、変化に柔軟に対応できるようにしておくという姿勢です。

VUCAという言葉があります。「Volatility(ボラティリティ:変動性)」「Uncertainty(アンサートゥンティ:不確実性)」「Complexity(コムプレクシティ:複雑性)」「Ambiguity(アムビギュイティ:曖昧性)」の頭文字を並べたものです。4つの単語が示す通り、VUCAとは変動性が高く、不確実で複雑、さらに曖昧さを含んでおり、現代はVUCAの時代と言われています。

 

実際に皆さまも、コロナ禍、ウクライナ情勢、インフレ、円安など予測できない事態があまりに多いことに戸惑っていらっしゃるのではないでしょうか。

 

人口構造からくる人口減少や労働力不足、それに伴う自動化の必然性、米中デカップリングなど、構造的に不可避である流れは当然に考慮する必要があります。また、台湾有事や日銀の金融緩和政策の変動可能性などをリスク管理的に想定しておくことも必要なことではあります。構造的に明らかなことや、ダウンサイドリスクの把握は経営において必須です。

 

ただ、気にするべき外部環境と、ある程度で見切りをつける外部環境との線引きを会社の状況に応じて判断することも経営の実践においてはとても大切なことです。アナリストが経営をやってもうまくいかないのです。

 

 

・組織の柔軟性を高める

 

このVUCAな世の中においては、発想を転換して、臨機応変に変化に対応できるような会社を作ることが大切なのではないでしょうか。会社の柔軟性を高めるストレッチのような事をして、柔軟性と臨機応変に対応する能力を身に付けるアプローチです。

 

人材の採用や、育成によって、お客さまの変化・社会の変化への柔軟な対応を行う能力を上げることも必要でしょう。変化への対応を全て今自社にいるメンバーだけで、乗り切ろうとしても難しい部分があります。臨機応変に対応していくために、組織形態を柔軟にしておくことも有効でしょう。

 

また、変化に柔軟に対応できるようにするために必要な組織能力として、「両利きの経営」があります。以前にも本コラムで触れましたが、既存の事業をしっかりと行いながら(深化)、一方で、変化の機会を探して新たな付加価値の芽を求める活動(探索)の両方の機能を持つ経営スタイルのことです。

組織の柔軟性と言いつつも、それを全ての従業員の方に求めてもうまくいかないことが多いです。だからこそ、組織に柔軟性をもたらせる機能(変化に対応する機能:探索)を部分的に持たせながら、大部分の社員さんたちは、既存の事業に集中してもらって(深化)、経営全体として、会社全体としての柔軟性を確保する考え方です。

 

このように、今まで硬直的に形をしてきた会社であっても、柔軟性を確保するために必要な取り組みを行うことで、徐々に変化対応能力を高めることができます。

 

・組織の能動性:経営者の主観を磨く

 

また、このような時代だからこそ、柔軟に変化に対応しながらもミッションやビジョンをしっかりと持ち、実現したい目的や姿を作りにいく能動性をもって、その意思を求心力とした組織を作ることが重要であると感じます。

書籍「7つの習慣」にも、「人は変わらざる中心がなければ、変化に耐えることができない」と書かれています。

7つの習慣」には、第二の習慣において自分自身の価値観を明確にすることを軸として、様々な状況に主体的に対応していくことの大切さが描かれています。

 

これは企業経営においても同じことで、企業の存在目的であるミッション、具体的な将来像であるビジョンを持ちながら、変化に右往左往するのではなく、主体的に柔軟に変化に対応していく姿勢が大切です。そして、この組織の主体性を発揮する元になるのがミッションであり、そのミッションは経営者やリーダーの主観から発せられます。

だからこそ経営者やリーダーが、考え方や人格を磨いて自分自身から発せられる主観そのものを磨くこと、そしてその主観が周りの人を惹きつけるものになるようにするために、自己鍛錬を続けていくことが大切なのだと考えます。


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