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多くの人は、見たいと欲する現実しか見ていない

今週の「言葉」
2023.02.03

ユリウス・カエサルの言葉として、塩野七生氏の著書「ローマ人の物語 8」にて紹介されています。原文直訳では「ほとんどの場合、人間たちは、自分が望んでいることを喜んで信じる」などのようですが、経営の実践におけるポイントを含んでいると思いますのでご紹介します。

 

経営の実践における「意思決定」という営みの前段には「事実を集め、解釈する」という作業がありますが、そこに冒頭の「思い込みや認識のゆがみ」が入り込むことがあります。卑近な例として、社内で声が物理的に大きい人、報告を頻度・分量多く上げてくる人などからの情報に依存しすぎることなどが挙げられるでしょうし、もう少し広い目線では、たとえば、直近の業績が好調ゆえに事業環境の動向を楽観視し過ぎていて、実は自社の市場は減少傾向で将来性もあまりないことがわかったような場面もあるかもしれません。

 

こうした事態を避けるために<事実>と<解釈>において、どのようなことに留意すればよいでしょうか。

 

まずは<事実>の点ですが、<解釈>は後段の作業に譲るため、誰が見てもそうだという客観性の観点でできるだけ数字(定量)で捉えることに加えて、自社の活動については結果とプロセス(取組み実績)の両面を同じ重要度でもって把握することが大切だと思います。結果の側面だけでは<解釈>において再現性の検討(こういうことをしたらこうなる)が難しくなるためです。

また、前述の例にも挙げたとおり、情報源や情報の範囲を意識的に偏らせず、広く集めることも重要と思います。

 

次に<解釈>の点ですが、広義の意味で「教養」(事実を読み解く“枠組み・型”)を持つことが大切と思います。当社が日々お伝えしている「経営の原理原則を学ぶ」や何千年もの間多くの人が正しいと言ってきたことを学ぶことでの「普遍的な正しい考え方」を持って頂くことはこの点に通じています。

またそのほかにも、繰り返し検証するために「本当にそうだろうか」との批判的思考をもつこと、過大・過小評価を防ぐために確率あるいは統計的思考で捉えること、思わぬ偏りを少なくするために利害関係がない第三者の意見を聞くことなども重要と思います。

 

ところで私自身、とある健診を受けなくてはと思いつつ、何かと理由を付けて何年も受診しておりません。検査数値は以前からかなり悪化しているだろうなと思いつつ、見たくない数字を意図的に遠ざけてしまっています。<事実>の段階からつまずいております。


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