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仕事を好きになることと、好きのポジショニングを提供することの歩み寄り

経営のヒント
2023.02.03

今回は、好きなことに集中すること(してもらうこと)が、働く人が活きる(働く人を活かす)ために必須であるという当たり前の話です。これだけだと、「それはそうだろう」で終わってしまいそうです。

 

稲盛和夫さんの書籍「誰にも負けない努力」に、

 

「努力をして仕事を好きになる。本当に好きになったら、『誰にも負けない努力』ができる。そして一生懸命働く中で、創意工夫して仕事を進めるようになり、やがては素晴らしい成果ももたらされる。また、自分の魂を磨き、美しい心を作っていくことにもなる。」

 

という言葉があります。この「努力をして仕事を好きになる」ということは、とても大切で、かつ難しいが目指す価値があることだと思います。

 

人間、子供の頃から好きなことは熱中できると思います。

ただ、人生いろいろありますので、子供の頃や若い頃に好きだったことを活かすだけで、今の仕事ができるわけでもない現実もあります。

経営者の皆さんも、社員の皆さんも、様々な紆余曲折を経て、今の仕事に向き合っていらっしゃることと思います。

今の仕事が好きで、その仕事に対して誰にも負けない努力ができている方は、まさに自身の強みを生かして、お客さまや社会に貢献しているのだと思います。

 

一方で、人生甘くないので多かれ少なかれ、純粋に好きなことや純粋に得意なことと、今向き合っている仕事にギャップがある人もいるでしょう。むしろ、そのような人が大半であると思います。

 

現実的に考えたときに、働く人を活かし幸せになっていただくためには、双方の前向きな歩み寄りが必要なのではないかと思うのです。

 

人生のキャリアにおいても、経営戦略と同じように、SP (ストラテジック、ポジショニング)と、OC(オーガニゼーショナルケイパビリティ:組織能力)があると考えています。

SPOCについて簡単にお伝えすると、自動車業界でいえば、フェラーリなどはニッチな高級車のポジションを維持して、そのブランドを確立しています。一方で、トヨタは特定のポジションに集中しないであらゆる車種に対応しながら、トヨタ式の生産方式などを活用して、より低コストで高品質な車を生産し提供しています。

当然、フェラーリも美しいデザインや性能を維持、向上させるための組織能力があることは間違いありません。ただ、ざっくりと言えば、フェラーリがポジショニング、トヨタがケイパビリティを高める戦略をとっているということができるかと思います。

 

人のキャリアについて言えば自分自身が好きで得意なことをやるポジションを探して、そこに行くことがSP(ウサイン・ボルトが短距離走を選ぶ)であり、その最適なポジションから今の仕事が離れていたとしても、それを努力して好きになり、そのポジションに置いて誰にも負けない努力をするに至る(長距離をやらされているウサイン・ボルトが長距離を好きになる。相当無理のある例えですが、、)、または、自ら働きかけて自分自身の強みが発揮できるポジションの実現のために能動的に動く、そのような主体性や意思(短距離に集中することで、こんなことやあんなことでお客さまに貢献できるとアピールするボルトのイメージ)がOCに含まれるかと思います。

 

双方の歩み寄りとは、経営としてはその人が好きで得意なことを見出し、特にその強みを生かせるポジショニングをお客さまに成果が出る形で最大限考えること。(流石にボルトは体型的にも短距離なのでは?短距離で活かすことで、どのように商品サービスに貢献できるのか、云々)

そして、個人としては、今のポジションで努力して、今の仕事を好きになる、または自分自身が能力を発揮できるポジションを見出し、そこに能動的に働きかけるというケイパビリティを高めて実践することです。

 

これからの経営においては、人生100年時代の中で社員の方も今までよりも長く働くことになるでしょうし、今までと比べるとよりマルチステージ(社内外に関わらず複数の職種を経験する)ことが必然になるでしょう。

人が長く働かなければならない時代を迎え、かつ変化が激しい時代において、貢献できる仕事の寿命も短くなることが想定されるからです。

 

個人にとってみても、どのような環境においても仕事を好きになるために努力ができる力と、そして自分自身の強みを認識してそこに仕事を持っていくために主体的な働きかけをすることで実現する能力は、これからの社会を生きていく上でも必要になることだと考えます。

 

複数のキャリアチェンジを求められる可能性が高くなった時代において、経営においてはそのような社内外を問わずキャリアチェンジをしながら能動的に生きていける人材を育てる責務があるのだと思います。

簡単なことではありませんし、仕事を好きになるまで、また自分自身の力を発揮できるポジションを見いだすまで双方に苦しみがあると思います。

 

経営として、中長期的にお客さまや社会に貢献し続けることとともに、そこで働く人が、自分自身のキャリアを能動的に作れる、仕事を好きになる努力ができる力と、能動的にポジションを探しながら組織のお客さま貢献につなげられる主体性人材になっていただくこと、これは経営における切実な課題です。

そしてそれが実現できれば、お客さま第一で働く人を生かす組織になれるのではないかと思います。

 

変動が激しい時代です。前向きに覚悟と勇気を持って向き合っていきたいですね。


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