ブランディングと聞くと、企業のロゴマークや企業広告等を思い浮かべる方も多いかと思います。また、BtoC企業では必要だけど、BtoBではあまり必要ないのでは・・と思われる方も多いかもしれません。企業ロゴや広告はブランドの構成要素のひとつでしかありません。そして、「ブランド」はBtoCだけでなく、実はBtoBでも重要なことなのです。
ブランドは企業や商品にとっての資産となるものです。ブランド論の第一人者であるデービッド・アーカー教授は、ブランド資産とは、「ブランドの名前やシンボルと結びついたブランドの資産(あるいは負債)の集合であり、製品やサービスの価値を増大(あるいは減少)させるもの」と定義しています。
私は、ブランドとは、それに対して共通のイメージを持たせるものであり、「約束」されたもの、とお伝えしています。(ブランド・プロミスという形で実際にその約束を明文化している企業もあります。)
つまり、その企業名なり商品名を聞いて、ああ、その企業(商品)はこうだよね、と付随する価値のイメージが結びつき、そのイメージとともにお客さまに評価されるものです。
特に企業ブランドは、その「約束」の意味合いが強いと思います。常に品質が安定している、いつも先進的で新しい取り組みをしている、この領域の知見が深く信頼できる、どこまでも親身に困りごとに応えてくれる、お客さまのニーズを捉えた提案力が高い・・・など、例えばお取引がある企業のなかでも、良いイメージが思い浮かぶ会社があるのではないでしょうか。
そのような良い企業イメージは、一朝一夕にはできません。その企業の商品やサービスそのもの、その企業の従業員の方の対応、一連のサービスの体験、電話応対や問い合わせ時の反応、ホームページや提案資料などの言葉、そのような一つ一つが、受け手側の印象として一定以上に積み上がって、企業と結びついたイメージを形作ります。これがブランドです。
ですから、受け手に悪い印象を積み上げれば悪いブランドとなりますし、バラバラな印象であれば、まとまったブランドイメージを持ちえないことになります。また、積み上げた「約束」を破るようなことを行った場合は、そのブランドは崩れ信頼を失います。
では、強くて良いブランドをつくるにはどうしたらよいのでしょうか。
実際には、自分たちの姿勢、お客さまにどのような価値を提供するのか、どう覚えられたいのか、ということを定め、その意識を一つひとつの商品やサービス、一人ひとりの従業員に行き渡らせ、一貫して具体化し行動し続けることでしか実現されません。
表面的に見えるところだけではなく、それが組織のすみずみまで行き渡っていなければ、お客さまにはあらゆる接点で一貫した印象を与えられない。つまりは、お客さまとの約束を守り続ける真摯さを持つ組織づくりが必要ともいえます。
今のように、商品・サービス・価格がある程度の基準を満たし差別化が難しくなっているなか、その企業の「約束」を感じられるかどうかが、お客さまがその企業を選ぶ理由になってきています。そして今後も、感情・共感を重視し社会的なふるまいを重視していく時代性も相まって、企業ブランドが果たす役割はますます大きくなっていくのではないかと感じています。