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サステナブル経営の意識の広がり

経済トピック
2023.04.08

202345日の朝刊15面に、ファーストリテイリングが三次取引先まで人権配慮の監査を始める記事がありました。

これまでは、1次取引先の縫製工場、2次取引先の生地工場では監査をしていたが、より上流の紡績工場の監査も始めるということです。

 

欧米を中心に、企業はサプライチェーン全体を管理するように求められており、原材料の調達リスクを把握して、商品の安定供給につなげる狙いもあります。

 

ドラッカーの書籍「マネジメント」において、自らの組織をして、社会に貢献させる上でマネジメントの3つの役割があるとしています。

①自らの組織に特有の使命を果たす

②仕事を通じて働く人たちを活かす

③自らが社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題について貢献する

地球全体の環境や人類の持続可能性をあらゆる面で求められるサステナブルに関心が高まっている時代において、上記のマネジメントの役割のうち、③の位置づけが非常に高まっていると感じます。

 

ファーストリテイリングなどの例は、まさに自らが社会に与える影響の処理と社会の問題に対する貢献の取り組みの幅を広げる流れです。

欧米を中心として、政治的な思惑もあるかもしれませんが、サステナブルな環境に貢献をすることの重要性が消費者としての選択基準(QPS)や規制的にも増していることを感じます。

 

中堅中小企業においても、このようなサプライチェーンの一部として、または自らの商品サービスのサプライチェーンについての配慮が求められるケースが増えてきています。

 

影響範囲が広い大企業については、規制や仕組みなどによって広いサプライチェーンを管理する必要があるでしょうが、私はこの社会課題への対応について、サステナブルな時代に合わせた経営理念や価値観を高めることによって対応することが本質なのではないかと思います。

 

自らの価値観や、経営理念の社会や地球環境への貢献の意識を高めることで、自然と環境問題や人権問題に配慮する文化を作っていければ素晴らしいと思います。

 

もちろん、きれい事だけで世の中が回っていくわけではないでしょう。人権の配慮や環境の配慮をしっかりと行うことによって、コストが過剰に高くなって、価格競争力がなくなるようなケースもあるでしょう。

経営的にうまく工夫をする必要はありますが、十分な工夫をした上で、それでも価格競争力によって排除されるような業界は、遅かれ早かれ軌道修正されていくのだと考えます。

 

サステナブルとは、その名の通り持続可能性です。どこかに無理をして回っているような業界は、時間の経過とともに、そして価値観の変化とともに継続できなくなるのだと考えます。短期的に、社会的な課題を放置したまま価格競争力を維持したとしても、それが企業の存在目的に合致しているのか、そしてそのような企業が社会や消費者から応援されるのかということを真剣に考える必要があるのでしょう。

 

また、人生100年時代と言われます。従業員の方は、その人生においていくつかのキャリアチェンジを必然とする環境に身を置かれます。そして会社組織だけではなく、個人としての活動領域が増えてきており、自分自身の価値観に応じて多様な働き方が出来るような環境になっています。

そのような状況において、従業員に働く環境として選ばれるような会社であるためには、その会社が信じている経営理念が共感でき応援したくなるものであることが重要です。サステナブルな文脈でいえば環境や人類に貢献するものである、これからの生成発展に貢献するものであることが重要なのだと思います。

 

労働力不足の加速が想定され、そのような中で会社がサステナブルであるためには、従業員から選ばれる会社であることも必須になってきます。社会やお客さまから選ばれ、従業員から選ばれることに対して、サステナブルな価値観を持って、本気で環境や人類の持続可能性に貢献する取り組みを行うことは、これからの企業経営において必須なことであると言えるでしょう。


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