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人材難時代の経営戦略について:新しいルイスの転換点と採用QPS

経済トピック
2023.05.26

本日は日本の人口構造から考察する経営戦略について考えてみたいと思います。

 

余剰の労働力が底をついた状態を「ルイスの転換点」と呼び、一般的に社会に産業転換の必要を促します。ルイスの転換点とは、イギリスの経済学者アーサー・ルイスによって提唱された表現です。例えば 「ルイスの転換点」を迎えた中国では、工場労働者の給料が急激に高騰し、安くて豊富な労働力に支えられていた経済成長は、転換を求められています。「中進国の罠(一人当たりGDPが一定水準以上(100万円程度)になると成長が鈍化する)」に陥っているのです。

 

今の日本の状況は「新しいルイスの転換点」と言われています。

アベノミクスの時期は生産年齢人口の減少は続いていましたが、労働者人口は減少していませんでした。

それは、3つの労働人材プールとして高齢の方、女性の方、外国の方の3分野の労働参加によって支えられていました。

それでも人手不足と言われ続けた時期であったことは皆さんも実感を持たれているのではないでしょうか。

 

これらの労働人材プールが枯渇しつつある状況をもって、「新しいルイスの転換点」と呼ばれています。

 

団塊世代が70代後半に差し掛かりいよいよ労働参加からの引退が加速すること、また、女性の労働参加率が飽和に近い状態になってきたことなどから、労働力人口の増加は、頭打ちになることがほぼ確実視されています。

 

・当面の人材難時代の環境変化

 

では、どのような転換が必要なのでしょうか。

少なくともここ数年程度以上の期間は、AIやロボット等による省力化に先立って人材難の加速が進むことになるでしょう。

 

枯渇する労働人材の採用力をどのように高められるか、がキーポイントになります。

このような状況の中で必要な事は、マーケティングのQPSならぬ「採用の QPS」を高めることです。

 

採用のQPSQは仕事そのものの魅力です。働きがいであったり、仕事の意義と自身の価値観や将来との合致といったものになるでしょう。直接的動機と言い換えても良いでしょう。

これは、ミッション・ビジョンを策定して実践することや、それぞれの社員の方の自律性を促す経営を実践する学習する組織的な経営の推進など、様々な工夫ができるでしょう。

 

そして、何よりも切迫して意識しなければいけないのは、「採用QPS」におけるP、給与水準や待遇です。大企業をはじめ優良企業は生産性が高い(一人当たり付加価値が高い)ので、給与を上げやすいです。

中堅中小企業においても、マーケティングのQPSを高めることで一人当たり付加価値を上げることで給与を上げつつ、未来投資の原資も確保する原資を確保する必要があります。

 

人口構造が、マーケティングのQPSと採用QPSという2つのQPSの向上を求めているのです。

 

・人材難のその先の労働代替時代

 

そして、数年以降先の話は、AIやロボットなど人間の代替労働がどの程度浸透していくか、です。

522日にアメリカのペンタゴンで火災が起きたという生成AIによる偽情報が流れたことにより、相場が一時乱高下したといいます。

 

これによって、一時期、ダウ平均が下げ、有事の円買いということで円高に相場が振れました。

もちろん偽情報であったことが認識されたため、相場をそれぞれ戻しましたが、情報が出た瞬間に相場に影響与えるほどのインパクトとなりました。

なお、この相場に影響与えたものは、自動のトレーディングシステムによる影響もあると言われています。つまり、ニュースを認識して自動売買を行うアルゴリズムのシステムです。

この事例において言えば、偽情報を出すのもAIであれば(その記事を載せる意図をもったのは人間ですが)、相場に影響を与えたのもシステムです。

人間がほとんど介在しない中で、偽の情報が提供されてそれに基づいてAIやシステムが反応して相場に影響を与えるという、人間が知らないところで、様々なことがAIやシステムを経由して起こるような時代になってきています。

 

私たちの生活や経済の環境の中に、すでにAIやシステムやロボットなどが知らないうちにかなり自然に介在しているということが言えるかもしれません。

それは今後、自然環境と同じような意味をもたらすことになるのでしょう。人手不足の先のAIやロボットなどによる労働代替時代においても、様々な弊害も考えておく必要があります。

 

AIやロボットによる労働代替により人材難が解消されたとしても、言えることとしては、

人間しかできないことを人間は集中する必要があるが、AIの高度化とともに、人間の発揮すべきレベルが高まってくることが考えられます。

そこに貢献できる人材の価値は上がるでしょうし、このような人材が採用できる採用競争力があることが、今後の経営において死活的に重要になってくるでしょう。


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