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将来構想は「浸透活動」を徹底してこそ完成する

経営のヒント
2023.05.19

あるモノづくり会社様と「将来構想」、具体的には、510年後のありたい姿とそこへ至る道筋づくりをお手伝いしたときのことです。

 

経営幹部との月次会議で侃々諤々の議論を繰り返して素案をまとめました。その後、ミドルの管理職層や中堅・若手からは、自社の将来についての希望や不安、将来自分がしたいことなどを語ってもらうとともに、実際に素案を見てもらい、感想・意見を聴取(ヒアリング)しました。最終的にはそれらを反映させて、「将来構想書」として取りまとめました。

ここまでが「作成」のステージです。完成した構想書は、幹部が意思決定の場面でことあるごとに参照したり、あるいは、中期の経営計画や年次計画を立てる際の“基本方針”として活用されれば、それはそれで効果があります。

 

加えて、この会社様では、「社員への浸透」に徹底的にこだわりました。社員が全社一丸となってくれることや自社への期待感の醸成、ひいては個々人のやる気・自律性の引き出しを願って、です。

同社には東京・大阪のほか、そのほかの都市も含めて国内に多数の拠点があり(中には事務スタッフ含めて数名のところも)、効率性だけを考えれば小規模拠点に対してはオンライン開催の選択肢もありました。

 

ところがです。すべての拠点各々で、対面かつ拠点スタッフが一同に介した「構想説明会」を開くことになりました。その中には当然工場もあります。拠点によっては50名以上です。説明会自体は質疑応答含めて所要1.~2時間程度ですが、その日のために生産計画を前倒して現場を空ける時間を捻出するとともに、当日は構想の中身を知っている経営幹部1名のみが電話番を担って(オンラインで耳だけ参加)、事務方含めた全員が一同に参加しました。

こうして2週間にわたる構想浸透のための“説明会全国キャラバン”を行いました。

 

説明会を行ってから1ヶ月。さっそく効果が表れます。

先日伺ったお話では、「社員がコミュニケーションの様々な場面で構想に言及している」「営業部門が強いつながりのある顧客や外部パートナーに対して、自社の今後の方向性を説明し、次の段階の協働関係に向けて自信をもって提案できている」など具体的なアクションへと結びついているようです。

 

お手伝いをさせて頂いた我々としても嬉しい限りですが、これはひとえに、同社による徹底的な浸透活動の賜物だと思います。加えて言うなら、構想を完成させる前のヒアリング活動から既に、「取組みへの本気度を示す」などの浸透活動は始まっていたものと思います。ヒアリングの事前に“アンケート”として文章の形でも社員には感想・意見を訊ねていました。

これらの取組みを一歩引いて見るならば、今回は、一部の幹部陣でクローズドな形で構想を取りまとめ、完成後に「これは決定事項である。これに沿って進めていくように」というスタイルを取らなかったことが奏功したのだと思います。結果として、すぐに「我が事」としての理解・共感が得られ、実務の中でも活用されつつあるのだと思います。

 

計画、構想…。完成後に実際に運用され役立つことこそが大切ですが、そのスタートである「浸透活動」の重要性をあらためて認識しましたので、今回、お伝えをさせていただきました。


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