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“人で困らない経営”はまず人を知ることから

経営のヒント
2023.08.22

多くの中小企業様ではまさに人で困っています。売上・利益を頂戴するお客さまもまた人です。本質的には社内外、根っこは同じです。人手不足には2つの不足があると思います。それは、「数」としての人の不足感、もう一方は「質」としての人の不足感ではないでしょうか。どちらが重要かは経営(マネジメント)を実践されてきた方からすれば明らかだと思います。やはり「質」のほうが決定的に重要です。人間は無限の可能性を秘めている、このことは誰も否定するものではないでしょうが、ただその可能性が開くかどうか、それもまたマネジメントをする人間によって大きく左右されます。ここでもやはり「質」の問題です。

 

人の問題で悩む経営者や中間管理職と言われるマネジャーはこの15年間を振り返ってみても尽きることはありませんでした。何故尽きないのか?それは「人で困っている」と言いつつも、多くの場合「人について学んでいますか?」とお聴きすると、目の前のことで忙殺されてなどの前置きをしつつ「学んでいない」ということの繰り返しだったと感じています。経験則だけで人と向き合えば当然マネジメントの成果(単なる一人ひとりの集合体を超えた総体としての力を発揮する組織にすること)は不確実性が増すばかりです。この問題の根深さは次のドラッカー先生の一文に要約されているように感じます。名著『現代の経営(上)』からママ引用します。

「人の成長ないし発展とは、何に対して貢献するかを人が自ら決められるようになることである。しかしわれわれは、通常、一般従業員を経営管理者と区別し、彼らを自分や他の人の仕事についての決定に責任もなければ関与もせず、指示されたとおりに働く者として定義する。ということは、一般従業員を物的資源と同じように見、企業への寄与に関しても機械的な法則の下にあるものと考えていることを意味する。これは重大な誤りである。」

※ちなみにこのドラッカー先生の警句は1954年のものである。いまなお興奮の書である。

 

生産性を高めよ、と言われます。こうした議論やプロジェクトも多く参画して参りましたが、未だに「人」のことが忘れ去られています。経営学の黎明期である100年前に実施された「ホーソン実験」と数年前に調査されたGoogleの「プロジェクトアリストテレス」の結果は凡そ同じ結果だったと認識しています。経営の「経」は「たて糸」の意味です。たて糸とは時代を超えた原理原則のことを意味します。不変の原理原則を営むのが経営(マネジメント)です。原理原則は必ずしも成功を約束はしませんが、破綻と衰退からは守ってくれます。やはり我々は「知らないことは考え抜けない」生き物なのです。歴史が繰り返すのではありません。人間が繰り返すのです。偉大な投資家ウォーレン・バフェットは「我々が歴史から学ぶべきなのは、人々が歴史から学ばないという事実だ」と語ります。100年~2500年と一貫して変わらない原理原則、そして人類が洋の東西問わず“正しい”と遺してきた叡智に学ぶこと、このことが改めて「マネジメント」をする人間に求められているのだと日々思いを深めるところです。


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