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違和感を放置せずにフォーカスする

経営のヒント
2023.08.22

経営コンサルタントとして仕事をする中で大切にしていることがあります。それは“違和感を放置せずにフォーカスすること”です。

 

半年以上前のことですが、ある企業が倒産した際にコンサル先企業のお客さまにとても感謝されたことがあります。実は3年ほど前にこの会社の倒産を予測し、このお客さまが引き受けていた社債を強引に償還してもらっていたからです。

当時この倒産企業は3億円の営業利益を計上し、自己資本比率は30%台後半。信用調査会社の評点も50点台半ばでした。信用調査会社の評点は50点を超えていれば一般的に優良企業と言われ、一見すると特段安全性に問題がないように思われました。しかし、財務諸表を見ていると勘定科目のバランスにちょっとした違和感を覚えたため、詳細な状況を確認することにしました。事業内容や取引先の状況を調べていくうちにコロナの感染拡大も重なり、当該企業は高い確率で倒産すると思ったため社債償還してもらうべきとアドバイスをしました。

倒産企業には、経理部長が突然退職した、経営者がいつも銀行回りをしている、倉庫が雑然としている、など共通した予兆があり、焦げ付いた際に営業担当者にヒアリングをすると、そう言われてみれば確かに・・と何かしらの予兆に気づいていたということがほとんどです。大切なのは、「うんっ?」と思った違和感を放置しないことです。何かおかしいと感じればその時点で詳細な情報収集をし、事前に対策を打つことができます。

このような違和感は何も取引先企業の倒産に限ったことではありません。社内でも特定の管理職の部下の離職が続く、いつも元気な人の声が小さいなどという小さな変化から何か人間関係の問題に気づくこともありますし、車に乗っていて異音がする、生産設備の周りに普段見かけない鉄粉が落ちているということから設備の異常に気づくこともあります。かつてバックパッカーをしていた際には、入った路地の臭いやそこにいる人の目つきからここは入ってはいけない路地であるということに瞬間的に気づくこともありました。

ちょっとした違和感は別に気にする必要がないことがほとんどかもしれませんが、放置して良いものなのか、それともフォーカスして深掘りしていくべきことなのかを冷静に考えることが大切です。

 

またこの違和感にフォーカスするということはネガティブな問題に限ったことではありません。なぜか販売が好調な製品や、業績が伸び続けている特定の拠点など、こちらの想定外のニーズや取り組みが隠れていることがあります。そこを深掘りすることで飛躍的な成長のきっかけを見つけることができることがあります。かの有名なピーター・ドラッカーは「イノベーションのための7つの種」の中で「予期せぬもの」つまり、予期していなかった成功を挙げています。

このように「うんっ?」と感じた違和感は流すのではなく、そこに何かがあるかもしれないとフォーカスする習慣を身に付けるべきです。


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