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差別化を考えることが必要な本当の目的

経営のヒント
2024.02.29

事業を進めるうえで、商品・サービスの差別化が必要であるとよくいわれます。
この差別化は、いったいなぜ必要なのでしょうか。

普通は、「自社の商品・サービスを選んでいただくため」だと思います。その結果、お客さまのニーズにあわせたり、競合との違いを出すことにフォーカスしていくことになります。もちろん、これ自体は否定しません。ただ、差別化を図るなかでいつも忘れがちだと感じることがあります。それは、「自社らしさ」の深掘りです。

どんなに他とは異なる戦略があっても、それだけを理由に私たちが動くことはありません。他社との違いの中に、自社らしい未来を見出し、ワクワクするから実行したくなるのです。こうした内側から湧き出る衝動の大切さは、案外軽視されがちだと思います。もっというと、「他社と違うことをやるから儲かる、その結果、社員のモティベーションが高まる」と捉えている経営者に出あうこともあります。正直なところ「この人は、損得だけでビジネスを考えているのだな」と少し残念な気持ちになります。

会社はお金を生む機械ではありません。人という生命の集合体です。参加しているそれぞれが、原動力を生み出すことができ、また成長することができます。もちろん、時として原動力を失ってしまい、成長が止まってしまうこともあります。それは、人生と同じように様々な節目に直面するからです。

経営学の用語に「組織アイデンティティ」というものがあります。組織アイデンティティとは、「我々はどのような存在であるか」「我々はどのようなビジネスを行っているか」「我々は何になりたいか」といった3つの問いへの答えです。社員が共通の価値観や信念を共有することで、協力しやすい環境が生まれ、組織全体の生産性向上に繋がると言われています。

また、以下のようなときに、組織アイデンティティを明確にする機会が生じるとされています。

1.組織の形成時。創業や新組織の立ち上げ期
2.創業者や中興の祖が組織を去ったとき
3.組織の目的を達成したとき
4.組織が急成長して様々な選択肢が広がっているとき
5.主要な子会社や部門の売却やM&A等によって他の異なるビジネスを買収したとき
6.組織の縮小の局面

ピンチもチャンスもその機会になっていることが分かるでしょうか。
事業をしていれば、必ず何らかの節目を迎えます。良くも悪くも、いつまでも同じではいられないのです。そもそも事業は、変化の連続を前提としています。これは、当たり前のことのはずですが、変化を受け入れるのが難しいのもまた、私たちの本能によるものです。この難しいジレンマに1人で向き合うのではなく、みんなで向き合うことができるのが組織が存在する意義の一つです。

商品・サービスの差別化を考えることは、それ自体が目的ではありません。本当の目的は「私たちが、どうありたいか」を対話し、深め合う機会を生み出すことにあるのです。


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