今月(24年6月)、担当させて頂いているお客様の経営方針発表会(6月末決算)に参加いたしました。3年近く担当させて頂いており、毎年、経営計画書の策定をご支援させて頂き、また経営方針発表会にも参加しています。
このお客さまは生鮮食品の専門小売店を展開されていて、年商は15億円と、対象生鮮品の専門小売店としては地域最大級となります。1923年創業で、2024年は「次の百年の一年目」と位置付け、様々な取組みを進めてきました。現在、20代後半の4代目の取締役が全社改革を進めているところです。
今回、経営計画書の策定、及び経営方針発表会の準備をご支援させて頂くなかで、意識して進めたことについてご紹介します。次の4点になります。
①自社アイデンティティを踏まえた経営理念の確認
②1年間「できたこと」、「できなかったこと」両方を踏まえた振返り
③方針は経営者が示し、重点施策は現場で策定
④発表会では、感情と論理を両方交えながら伝える
それぞれについて簡単にご紹介します。
①自社アイデンティティを踏まえた経営理念の確認
自社の歴史と、自社の商品を通して、自社のアイデンティティを確認することを目指しました。
自社の歴史といっても、単なる年表の列記というものではなく、創業時の写真や創業者の想いなどを紹介しました。想いについては、創業者の手記や新聞記事などを紹介しています。
また、自社の商品は、産地の優位性や、商品を通じて街や消費者の生活をどのように彩るかなど、日頃当たり前ととらえがちな魅力をお伝えしたのです。
このような歴史や商品を通した自社アイデンティティの確認を通して、社員の皆さんが経営理念をより具体的にイメージできるようにしたのです。
②1年間「できたこと」、「できなかったこと」両方を踏まえた振返り
前述したとおり、2024年は「次の百年目の一年目」と位置付けたこともあり、本店での改装やイベントなどを企画したり、新商品を発売したりしました。これらは前年度の経営計画書でアクションプランとして掲げていたものも含まれています。
このアクションプランのなかでも、「できたこと」、「できなかったこと」を通して、「できなかったこと」は新年度のアクションプランに盛り込むようにしています。
掲げていた計画をきちんと総括することが、新年度の計画に活きてきます。
③方針は経営者が示し、重点施策は現場で策定
実は、前年度の経営計画書では全体の方針はもちろん、重点施策まで経営者を中心に策定しました。その結果として、現場のメンバーにとって重点施策はどこか他人事という空気もありました。
そのため、新年度の経営計画書では経営者が全体・各店の方針を示しつつ、各店舗で主体的に重点施策を策定してもらうこととしました。各店舗が策定したものを各店舗の責任者と経営者の間で議論し、最終的な重点施策としていきました。
④発表会では、感情と論理を両方交えながら伝える
経営方針発表会は新年度の経営計画書を発表する場ではありますが、社員の方々に日頃の感謝や、今後への協力のお願いなどを伝える場でもあります。
淡々と来年の計画を伝えるだけではなく、経営者としてこれまでの苦労や負担などに対して感謝の気持ちを伝えたうえで本題に入っていかれました。このように進めていくと、皆さんにも伝わりやすくなります。
ここまでご紹介した4点は他の企業様でもご活用頂ける点もあると思います。ぜひ今後の経営計画の策定、経営方針発表会などでご参考としてください。