「○○世代」などと、ある一定の期間に生まれた人を一括りにすることがよくあります。ある年代の人全体に共通する一定の傾向があるはずだと考えられるためです。
例えば、「Z世代」と呼ばれる人たちがどのような消費傾向を持っていそうかを捉えることで、未来の消費者の多くがどのような傾向を持ちそうかを想定し、商品・サービス戦略に応用するヒントが得られるかもしれません。
そのうえで、私たちは往々にして、イメージ先行で「○○世代」の特徴を誤解する可能性もあります。
若手世代について調べ物をしていたところ、たまたま目にした2023年3月のBIGLOBEによる飲み会に関する調査結果(マイナビニュースのサイトで紹介)に興味を持ちました。以下に、一部紹介してみます。
・「上司との飲み会にできるだけ行きたいか」という質問について、20~24歳の40.8%が「上司との飲み会はできるだけ行きたい」(「あてはまる」「ややあてはまる」の合計)と回答。
・同じ質問で、「できるだけ行きたい」の回答は、25~29歳で32.0%、30~60代では23.1%となっていて、20~24歳(Z世代)が最も「上司との飲み会」を望んでいるという回答結果となった。
・「同僚との飲み会にできるだけ行きたいか」という質問には、20~24歳の46.4%が「できるだけ行きたい」と回答。30~60代の31.0%に対して、やはり20~24歳(Z世代)が高い結果になった。
一般的に言われていることの想像からは、意外な結果ではないでしょうか。
もちろん、年上の世代はライフイベントの都合(子育てや介護)も増えやすく、物理的に飲み会に行く余裕がないなどの事情も想定されるため、この結果のみで「若年層ほど上司との飲み会を望んでいる」などと結論付けるのも、無理があるのではないかとは思います。そのうえで、少なくとも上記結果からは「若者は飲み会を避けたがるのではないか」と一括りにするのも、的を外すかもしれず危ういと言えそうです。
同調査では、次のような結果も紹介されていました。
・「飲酒の頻度」への回答は、「ほぼ毎日飲む」が20~24歳4.0%、25~29歳7.2%、30~60代25.8%、「月1~2回程度」が20~24歳17.6%、25~29歳15.2%、30~60代10.8%
・「飲酒に対する気持ち」への回答は、「日常的にお酒を飲みたい」が20~24歳17.6%、25~29歳26.0%、30~60代36.8%、「特別な時のみお酒を飲みたい」が20~24歳34.8%、25~29歳21.2%、30~60代22.0%
上記から、Z世代のお酒への向き合い方について、次のように考察してみます。
・Z世代は飲み会の場に前向きな面を持っている。
・飲酒量は若年層になるにつれて低下傾向にある。飲み会も、酒を飲む場というより、「コミュニケーションをとる場にお酒もついている」という捉え方のイメージなのかもしれない。
・少なくとも、「一気飲みの強制」「俺の酒が飲めないのか」などのようなアルハラは、Z世代にとって一発アウトとなる可能性が高いだろう。このような行動は他世代にとっても迷惑だが、Z世代に対してはより厳重な注意が必要そう。
・Z世代は、仲間意識も強く、合理的な消費傾向があるというようなことも、各所で聞くことがある。飲み会に一定のニーズがあるうえで、「一緒に飲みたい人とは飲む」「楽しそうな場なら行く」「形だけの場なら行かない」といった志向が、よりはっきりしているのかもしれない。
同サイトから、更に抜粋してみます。
・ネット上では「若者側の気質の変化より、誘う側の上司が酒に綺麗な世代に置き換わったからだと思う」「結局は上司次第なんだよなぁ。アドバイスをしてくれる上司となら喜んで行くけど自分の自慢話と愚痴しか言わない上司は全力で拒否るわ」「嫌いな上司でも絶対行く。飲み会学べることが多すぎる」「上司によるけどめんどくさがりなのでなるべく行きたくない」などの声が寄せられた。
「○○世代」などの括り方は一定の有効性があるものの、最終的には一人ひとりがそれぞれの特徴を持っていて、異なる存在だという前提で、一人ひとりをよく見ることに尽きるのだと思います。