朝、NHKのラジオを聴いていたら、リクルートワークス研究所の古屋星斗さんが「反労働観」なるものを解説していました。興味深かったので、リクルートワークス研究所の記事を見てみました。
『仕事に「熱意」は必要か?』
https://www.works-i.com/research/project/newcareer/auxiliary-line/detail003.html
反労働観とは、「そもそも仕事はつらいもの」という仕事観のことです。仕事は仕事、もらったお金を使うことに喜びを見出すといった考え方になります。こういう方は、割と多いと思います。興味深かったのはその先です。このような方を「熱意」が低い人と読みかえると、一般的には仕事のパフォーマンスも高くないという研究結果が多いのですが、そうとも限らない、むしろ高い場合もあるというのです。
直観的には理解しがたい話です。ただ、記事をよく読むと仕事に対する姿勢は「正規分布」している。つまり、仕事観は本来多様なものなのだが、自分と同じ考え方の人が多いのだと思いがちというわけです。私が、「理解しがたい」と感じるのは、「仕事は楽ではないかもしれないが、楽しいもの」という仕事観を持っているからなのでしょう。古屋さんもラジオ番組の中で、「自分は仕事に熱意は必要と思っているが、一方でそうではない同僚もいて、この研究結果について話すと喧々諤々の議論になる」とおっしゃっていました。
結局は「考え方」次第といってしまうと身も蓋もないと思ったのですが、ここに大きなヒントがあるように思いました。稲盛和夫さんは、人生・仕事の結果は、「考え方×熱意×能力」で決まるとしています。この方程式のポイントは、熱意や能力は0~100点までなのに対し、考え方はマイナス100点からプラス100点まであるということです。たとえば、お金を稼ぎたいという熱意があり、それを実現する能力があれば、考え方がマイナスではない限り、高いパフォーマンスが出るといえます。
さて、ここでいう「考え方」そしてそれが「マイナス」や「プラス」であるとはどういうことなのでしょうか。稲盛さんは、KDDIを設立する時も、JALの再生を引き受ける時も「動機善なりや、私心なかりしか」と自分に問うています。損得ではなく、善悪で考えるということです。つまり、考え方とは「善悪」という基準であり、善が「プラス」で、悪が「マイナス」となります。ここで重要だと思うのは、「それが私心ではなく、世のためになるかどうかを自らに問う」姿勢です。そして、それが「自分が生きたい人生なのか」という視点を持てているかどうかだと思います。
「パフォーマンス」といっても、研究の中では年収が使われていたりします。それは単なる結果に過ぎません。どのような自分であれば世の中に貢献できるのかと考え、判断を重ね、行動することで、みんなに喜んでもらえる成果を求めていく。少なくとも、他の誰かの人生に影響を与える立場にある経営者であれば、この姿勢を忘れないようにしたいものです。