今日は、成長を目指して会社づくりを進めた会社のお話から考えたことをお伝えできればと思います。
■成長を目指していたが・・・
先日、ある会社の経営者と話をすることがありました。
その経営者は、学生時代に起業し、約10年右肩上がりに成長を続けてきた会社でした。しかし、その経営者の方としては、今の延長線上では、さらなる成長が難しいと考えていました。
その要因として挙げていたのは、採用はすれど、退職する人が出て、組織がある一定の規模から大きくならないということでした。
■なぜ、この会社は、規模が大きくならないのか?
そこで、私は「どのような採用活動をおこなっているのですか?」という質問をしました。すると、中途で採用をしていて、見極めのポイントとして重視しているのが『成長』とのことでした。
この会社は、「社員が成長し、会社が成長することで、社会の成長に役立つことができる」という理念を掲げていて、『成長する』ということを大切な考え方としていました。
面接を通して、具体的には、「これまでどのような目標に向けて動いてきたか?」、「今後は、どのように成長していきたいのか?」といった質問を通して、応募者の向上心・成長意欲というものを見極めてきました。
そのお話を聞き、私は「退職された方の理由は?」と質問しました。すると、「成長の方向性が合わなくなった」という理由が多いとのことでした。
■なぜ、このような状況が起こったのか?
この話を聞き、なぜこのような状況が起こっているのか、私は考えました。そして、気づいたことがありました。
それは、「ビジョンが明確になっていない」ということでした。ビジョンは、少し長い時間軸での会社のありたい姿を言語化したものです。
この会社には、「成長を通して社会に役立つ」とあるのですが、『成長』というのが、どのような成長なのか、どこまで成長したいのか。また、『社会に役立つ』というのは、どのようなお客さまに役立ちたいのか、どのような手段で役立ちたいのかが、明確になっていませんでした。
そのため、採用した社員の方々は、それぞれ自分軸での成長を思い描くため、成長の方向性がバラバラになってしまい、合わなくなるということが起こっていたと考えられます。
具体的なビジョンを示すことができれば、会社としての成長の方向性に沿った人材を採用することができ、成長の方向性が合わなくなるということは起きづらくなり、退職者は減っていく。また、成長の方向性が社員に示されることで、何をすればそこに近づけるのかということが連想しやすくなり、社員それぞれの成長につながっていきます。
実際にこの会社では、ビジョンの検討を行うことになりました。
中堅・中小企業の場合は、理念はあるけど、ビジョンがないという会社が多い実態があります。組織の中で起こっている問題、それはビジョンが明確ではないからかもしれません。ビジョンを明確にする検討を始めてみてはいかがでしょうか?