先日、ハワイに行く機会がありました。勤務先の会社から、私を含む長期勤続の社員数人と褒賞旅行に招待され、行ってきたものです。
今回の渡航で印象に残ったことがいろいろありますが、その中のひとつが日本とハワイの物価の差です。
「NEWT海外旅行・ツアー」サイトの記事「【2024年最新】ハワイの物価は高い?費用や予算、日本との比較も」を参照すると、ハワイでの一般的な価格例が次のように紹介されています。今回の渡航でも、これらに近しいイメージでした。
ミネラルウォーター(500ml)3ドル〜
缶ビール(中)約2.3ドル〜約3.5ドル
食パン約4.5ドル
レストランでの食事30ドル〜50ドル
タクシー初乗り3.5ドル
バス3ドル(THE BUS 1回一律料金)
動物園の入場料21ドル
マクドナルドの場合、ビッグマック8.53ドル、コーラ1.79ドル、マックフライポテト3.79ドル
商品にもよりますが、タクシー以外は日本の2倍から3倍という感じです。
とはいえ、現地の物価が極端に上がっているわけでもありません。
(コロナ禍・コロナ後における一時期の極端な物価高は考慮せず、簡略化して考えて)米国の物価が年2%ずつ上がっているなら、10年で約1.22倍、3%ずつなら10年で約1.34倍です。約10年前にハワイに渡航したことがありますが、そのときに感じていた物価のイメージからしてだいたいこのような範囲に当てはまる印象です。日本の物価も最近上がってきているとはいえ、長期的にはこのレベルを下回っていましたので、私たちにとってはハワイへの渡航は負担が大きくなっていると言えます。
そして、為替変動も私たちに対して負荷を高めています。
10年前の2014年11月は、1ドル=約115円でした。今は1ドル=約150円です。1.34×(150/115)=約1.75となります。最近は賃上げの動きが定着してきてはいますが、それは2000年以降でごく最近の話であり、長期的には多くの人の収入がほとんど伸びていません。つまりは、10年前に比べて、(正確ではありませんが、だいたいのイメージとして)日本人にとってのハワイ渡航は1.75倍も負荷がかかるものになっていると捉えることができます。
以前に渡航したときは多くの日本人を見かけましたが、今回は少なかった印象です。ハワイ州産業経済開発観光局とハワイ・ツーリズム・オーソリティによる調査結果を参考にすると、日本からの旅行者数は2023年12月が6万7405人となっています。これは、コロナ禍の影響のない2019年12月と比べると半分にも満たない数値です。やはり、費用的な負担が大きくなったことが、旅行者数の減少にそのまま表れていると言うことができます。
物価が2~3倍違うということは、単純に考えて、一般的な所得水準も2~3倍程度の金額差があるということです。そして、ハワイで売られている、提供されている商品・サービスが、日本の2~3倍高品質であるのかというと、そういうわけでもありません。日本のほうがサービス品質が高い品目が多くあります。
最低賃金1,500円の早期実現を叫ぶ政策などが話題になっています。現実的に実現可能なのか、仮に実現した場合の企業活動のメリット・デメリットはどういうのかなどの論点はいろいろあると思います。
そのうえで、最近の日本における物価上昇や賃上げの水準でようやく世界の動きと釣り合う水準だということは、やはり改めて認識したうえで企業活動・消費活動をする必要があると感じた次第です。