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二つのハロウィン

小宮一慶のモノの見方・考え方
2024.11.12

トランプ氏が大統領に選出され、それが日本経済に及ぼす影響について今回は書こうかなと思いましたが、このところ経験したハロウィンの経験が私の心をとても癒してくれたので、今回はそのことを書きます。

ひとつは2週間ほど前のことです。自宅近くでいつも行く散髪屋さんでのことです。
80歳ほどのご夫婦が営んでおられる散髪屋さんなのですが、親切なこともあり、結構遠くから来られるお客さんもあり、かなり人気のお店です。
その日も、2つある椅子が満席で、私は散髪屋さんで待つのが新聞や本をゆっくり読めるので好きで、入り口近くの椅子と机のある小さな待合で待っていました。

そうすると、普段はそんなことはないのですが、小さな子供たちが、その散髪屋さんの開きっぱなしのドアからどんどん入ってきます。
お母さんやお父さんに連れられた子も来ます。
商店街がハロウィンの企画をやっており、お店を回ってスタンプをもらい、小さなお菓子ももらえるという企画です。
スタンプがたまるとくじ引きが引けるとのことです。
子供たちが入ってくるたびに、散髪屋のおじさんかおばさんが仕事の手を止め、スタンプを押し、お菓子をあげるために持ち場を離れて対応していました。
「僕がやりますよ」と私が申し出ました。何せ32年ほど毎月、他の店に一度も行くことなくその店に通っていますから、私は常連です。
スタンプを押し、小さなプラスチック製のカラフルなバケツに入ったお菓子を渡す係になりました。

その後も子供たちは続々とやってきて「トリック オア トリート」と恥ずかしそうに小さな声で言いながら、私のところにやってきます。
そして、スタンプを押して、バケツを持って子供たちにお菓子を差し上げるのを10人以上繰り返しました。
それをやっているうちに、何とも言えない良い気分になりました。
「有難う」と小さな声でいう子や、元気よく言う子、親に促されて言う子などさまざまでしたが、こちらもとても良い、ほっこりとした気分になりました。

いつもビジネスの世界にいて、お客さま第一や利他ということを人にも言い、自分でも気を付けていますが、それとはまた違うとても良い気持ちを感じたのです。
私の散髪が終わった後、散髪屋のおばさんが、子供たちの相手をした私に気を使ってお菓子をくれると言ってくれたのですが、それを丁寧に断って、「ぜひ来年もやらせてください」とお願いしました。

もうひとつのハロウィンは、ハワイでした。長年勤めてくれ、会社への貢献度の高い社員4名と、10月末に報奨旅行に出かけました。
報奨旅行というよりも私から見ると感謝旅行です。来年ハワイでセミナーを開く予定でその下見も兼ねていました。

そのときに、たまたま現地でハロウィンに出くわしました。
乗馬や小さな船に乗れる観光施設でも、スタッフがそれぞれのハロウィンにちなんだ衣装を着て、とても雰囲気がありました。
ホノルルの街もハロウィンの夜は、コスチュームを着た人などでメインストリートは歩くのにも困るほどでした。

その時に思いだしたのは、もう40年ほど前に、留学のためにアメリカの田舎町に住んでいた時のことです。
2年いましたが、最初の年は、「Trick or treat」と言って私の小さなアパートを訪ねてくる子供たちに、その習慣を知らなかったので、何もしてやれなかったのですが、友人から教わり2年目はキットカットのチョコレートを結構たくさん買って、それが全部なくなるほど訪ねてきた子供たちに差し上げました。
地域社会に少し馴染めた気分でした。

今年、たまたまハロウィンでとても良い、楽しい気分になれたことに心から感謝しています。

小宮 一慶

 


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