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年末ベースでの日経平均株価は過去最高を更新したが

時事トピック
2025.01.10

20241230日の大納会で、日経平均株価の終値は39894円でした。バブル経済期の1989年末に付けた最高値を35年ぶりに更新したことになります。

しかしながら、そもそも株は高値を更新し続けるのが通常の状態です。経済の発展に伴って、その国の経済活動と密接にかかわる企業も発展するはずだからです。個別の株価は各社の状況にもよりますが、少なくともインデックス株価は更新し続けるのが通常の状態だと言えます。日経平均過去最高値更新は喜ばしいことですが、1989年末から30年あまりの間に世界の株価がどれだけ伸びたかも同時に認識する必要があります。

1989年末と2024年末の日経平均株価の終値と、同時期の米国・中国の株価指数を比較してみます。ただし、中国は代表的指数の上海総合株価指数(SSEC)ができたのが199012月であり、初期には予期せぬ変動要因が起きやすかった可能性も踏まえて、1991年で比較してみます。

日経平均株価
19891229日:38,915.87
20241230日:39,894.54

米国:S&P 500指数
19891229日:353.40
20241230日:5,906.94

 上海総合株価指数(SSEC
19911230日:291.71          
20241230日:3,407.33

 S&P50016.7倍、SSEC11.7倍に対して、日経平均株価はわずか1.03倍です。「過去最高値」という言葉に甘んじてはいけないというのが、改めて認識されます。

株価と連動が深いはずのものとして、国内総生産(GDP)が挙げられます。1990年と2023年の国内総生産(GDP)の値も比較してみます。以下は、IMFによる名目GDP推移(単位:百万US$)です。日本のGDPの低迷は各所で言われているところですが、改めてその低迷度合いが大きいことが認識されます。

日本
1990年:3,185,904
2023年:4,219,828 

米国
1990年:5,963,125
2023年:27,720,725

中国
1990年:396,590
2023年:17,758,046          

超長期のトレンドとしては、世界全体で人口減少に向かうことが想定されています。よって、超長期での経済規模がどう推移するのかは、想定しづらいものがあります。そのうえで、少なくとも当面の今後数十年間は、1国単位でも経済の発展によって人口減少以上に経済のパイが大きくなるのが基本だと考えられます。

日本以上に少子化の傾向が顕著で人口減少に直面しているのが韓国ですが、一人当たりGDPで日本を抜いたことが話題になりました。

2023年の1人当たり名目GDPは、韓国が35,563US$で国としては31位、日本が33,899US$34位です。1位はルクセンブルクの129,810US$2位はアイルランドの103,466US$3位はスイスの101,510US$となっていて、日本と3倍以上の差があります。

GDP=「1人当たりGDP」×「人口数」で考えると、人口減少の局面下でGDPの総量を増やすには、1人当たりGDPを増やすのがその方向性となります。別の方向性は、減る人口を別の人口で補填することです。例えば米国は、日本同様出生率が人口維持に必要な値を大きく下回っていますが、移民の受け入れで人口増加が続いています。また、生産性も年々上がり1人当たりGDPも増えていますので、「1人当たりGDP」「人口数」の両要素が上がっているという結果になります。

国単位で見た上記の視点は、1企業の単位で考えても同じことが当てはまります。私たちの属する各社の生み出す付加価値の総量は、1人当たりの付加価値と従業員数のかけ合わせで決まります。自社が生み出す付加価値を高めるには、1人当たりの生産性を上げるか、従業員数を増やすか、あるいはその両方が必要になります。その認識と取り組みが低迷すれば、将来的に低迷を続けることになります。

1人当たりの生産性向上、従業員数増加に対し、自社ではどの事業のどのような方法でそれらを実現させるのか、今年はその内容をどのような優先順位付けで課題テーマとして認識するのか。新年を迎えた節目に、改めて整理してみるのもよいと思います。


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