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宿命に生まれ、運命に挑み、使命に燃える

今週の「言葉」
2026.05.25

故・小渕恵三 元内閣総理大臣の言葉です。

家業を継いで二代目となられた、ある経営者の方から、ご自身の心の拠り所となっている言葉だという紹介を受けました。沖縄県名護市にある「小渕恵三・九州沖縄サミットメモリアル碑」に刻まれていて、そこに立ち寄った際に見て以来、大切にしている言葉だそうです。

漢字の構造を紐解いてみると、それぞれの命は次のように捉えることができます。また、宿命、運命、使命のそれぞれは、過去、現在、未来の時間軸に焦点を当てた言葉だとも言えそうです。

宿命:命が宿る
運命:命を運ぶ
使命:命を使う 

自分の命が何に宿っているのか、どのように宿っているのかは、生まれた時に決まっていて、直接変えようがありません。自分の宿命について問いかけても論理的な解答も見つからないものです。例えば、自分はなぜ日本で生まれたのか。なぜ自分の両親のもとで生まれたのか。こうした問いに対しては、「そのようになっていたから」としか言いようがありません。宿命は、受け入れる以外ないわけです。

そのうえで、そのような宿命になっていることに、必ず何かの意味があるはずだと思います。自分の宿命に感謝しながら、勉学や武芸に励んで、生きるための力を蓄えながら、命を運ぶことが大切な姿勢だというわけです。

運命は、命を運ぶと書きます。どこで何の仕事をするか、付き合う仲間をどうするかなど、自分で決めて自分の命を運びます。宿っている命を今どのように運んでいきたいか、運んでいくかは、いくらでも変えようがあります。

私たちの日常会話で、宿命と運命は時々混同されて使われがちですが、2つは異なるものだとされています。例えば、冒頭の経営者様には、家業を営む家に生まれたという宿命があります。そのうえで、家業を継がず別の道を生きるという命の運び方もあれば、家業を継ぐという命の運び方もあります。同経営者様は、後者のほうを選んだわけです。

現パナソニック株式会社の創業者 松下幸之助氏は、「病気がちで、家が貧しく、学歴もなかったから成功できた」と語ったと伝えられています。病気がちだったからこそ他者の協力を得ようとし、貧しかったからこそ多少のことでへこたれない人間になれたというわけです。病気がちで家が貧しいといった宿命を、自分の人生がうまくいかない要因にして終わりにすることもできるかもしれません。しかし、同氏は真逆で、自分の宿命を強く自覚しながら運命を切り開いていったであろうお姿が、改めて想像されます。

そして、自分のルーツ=宿命に気づいたうえで、自分の人生の目的地が明確になってはじめて、どこに命を運んでいくのかの方向が定まります。何のために自分の命を使うのか。命を使う目的をはっきりと認識するのが、自分の使命の明確化にあたります。

命に関連する言葉には、「寿命」もあります。

寿命:命を寿ぐ(ことほぐ・祝福する)

死を迎える時に「寿命を迎える」という言い方をしますが、語源的には「命を祝う」という意味合いになります。

自分の宿命をはっきりと認識したうえで自分の使命を明確に定め、定めた使命に向かって運命を日々切り開いていった先に、命を祝う豊かな寿命を迎えることができるのではないか。改めて、そのように考える次第です。

藤本 正雄

 


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