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自身も会社も振り返る

小宮一慶のモノの見方・考え方
2021.04.27

新型コロナウイルスが日本にも蔓延するようになって1年以上が経ちました。コロナウイルスだけではないですが、何かあったときは振り返ることが大切です。コロナウイルスに関しては、これまでの緊急事態宣言も含めて十分な検証がなされているとは言えないでしょう。これまでのことを正確に振り返り、分析しない限り、結局場当たり的な対策しか取れなくなります。逆に言えば、振り返りを十分に行わないということは、経験が積み重ならないということです。

人生においても同じです。論語に「吾、日に吾が身を三度省みる」とありますが、自分のやっていることを振り返るということは、とても大切なことなのです。私は、東京にいるときは、寝る前に3年連用日記を書き、松下幸之助さんの『道をひらく』を読むことを習慣にしており、もう29年それを続けていますが、一日を振り返る習慣を持つことはとても有用なことだと思っています。

そして、振り返る際には、わが身のどこを変える必要があるかということを考えることも大切です。とにかくうまくいかないときには、「だれだれが悪い」、「世間が悪い」等々、自分以外にその原因を求めがちですが、他人や世間を変えることは簡単ではありません。もちろん、本当に自分以外がうまくいかない原因のこともあるでしょうが、それでも、自分の何が足りず、自分として何をするべきかということを考えたほうが、結果を変えるには早いと思いますし、自分自身も進歩します。会社の経営計画も、世間のことを嘆いても何も変わらず、自社をどう変えるかを考えるのが通常です。

私の好きな本のひとつに『ビジョナリーカンパニー2 飛躍の法則』(J.C.コリンズ著、日経BP社)がありますが、その中で、飛躍的に業績を伸ばした経営者の特色として「うまくいったときには窓の外を見て、失敗した時には鏡を見る」というものがあります。うまくいったときには「窓の外」を見て自分以外に成功要因を求める。一方、失敗した時には「鏡」を見て自分のどこが足りないかを考えるということです。松下幸之助さんも「うまくいったときには運が良かったと思え。うまくいかないときには自分を省みる」ということをおっしゃっていますが、同じことです。自身を省み、それにより自分をどう変えるかが大切なのです。

企業も同じです。経営計画を立てるに際しても、前期の状況をある程度正確に振り返ることが来期の計画作りには大きな手助けとなることは間違いありません。良かった時も悪かった時も振り返りが必要です。やりっぱなしでは進歩がないのです。外部環境分析も同じです。外部環境を分析する際には、もちろん、未来の予測をすることが必要となりますが、その際にも、過去数期間や5年前、10年前からの環境変化を正確に分析することが大切になります。過去ですから未来を予測するよりも分析は簡単ですが、それをやっていない会社も少なくありません。自社がやってきたことや外部環境の変化をできるだけ正確に分析することが、より精度の高い経営計画を立てるベースになるのです。

コロナウイルスに対してワクチンの接種が始まりましたが、しばらくはウイルスの影響が残ることになります。こういうときこそ、激変のここ1年間くらいを、何があったかそしてどうなったかということを個人でも会社レベルでも正確に振り返りを行いたいですね。


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