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オリンピック獲得メダル数とGDPの関係

小宮一慶のモノの見方・考え方
2021.08.10

東京オリンピックが閉幕しました。今回のメルマガは連載原稿を書くためにオリンピックでの各国のメダル獲得数と、名目GDPとの関係を調べたら結構面白かったのでその概略を説明します。

 

今回の東京オリンピックでは、私が計算したところ、金メダルが合計337個、銀メダルが338個、銅メダルが402個、選手たちに渡されました。

 

金メダルでは、米国がトップの39個、2位が中国の38個、3位は日本の27個です。それを私は、点数づけました。金3点、銀2点、銅1点です。それを各国で計算すると、米国(金39,銀41,銅33=232点)は、中国(金38,銀41,銅33=196点)は、日本(金27,銀14、銅17=117点)です。参加国すべての点数(2089点)から見たシェアは、それぞれ11.1%、9.4%、5.6%です。

 

ここで世界の名目GDPの数字を見てみましょう。全世界の名目GDPは約88兆ドルと推計されます。

 

先に述べたメダル数の点数のシェアとGDPのシェアとを比較してみましょう。米国はGDPでは世界の約25%のシェアを持つのに対し、メダル獲得の点数シェアでは11.1%しかありません。金メダル(39個)で見ても、総金メダル数(337個)の11.6%にしかなりません。メダル点数シェアをGDPシェアで割った数字は、0.45倍です。つまり、稼いでいるGDPほどメダルが取れていないということです。

 

意外なのは中国です。中国は「国を挙げて」オリンピックに取り組んでいるようにも見えますが、世界のGDPシェアの18.7%に対してメダル点数でのシェアはその半分ほどの9.4%しかありません。金メダルのシェアでも11.3%です。中国も米国同様、GDPほどメダルは獲得できていないと言えます。経済的な世界でのプレゼンスと比較すると、少し意外な感じもします。来年の北京冬季オリンピックでのメダル獲得数に注目したいものです。

 

一方、経済力とほぼ同等のメダル点数を獲得している国々は、日本、フランス、カナダです。先ほども説明したメダル獲得シェアをGDPシェアで割った倍率をみると、日本が0.97倍、フランスが0.94倍、カナダが1.05倍です。経済的プレゼンスとほぼ同等のメダルを獲得していると言えます。

 

ブラジルも1.2倍と、経済力を少し上回るメダルを獲得しています。

 

よく見てみると、カナダ以外の国々は、日本が開催国、フランスは次期開催国、そしてブラジルは前回オリンピックの開催国です。日本は開催国としてかなりの「気合い」が入っていたことは間違いありませんが、これは偶然の一致なのかは私には不明です。

 

最後は経済力以上のメダルを獲得している国々です。上位国でまず目につくのはROCです。国を挙げてのドーピング問題で、ロシアという国名では参加できませんでしたが、それでも、金メダル数では5位、点数で見た場合には、日本、英国を抜いて3位です。点数で見たシェアは6.7%です。一方、世界のGDPに占めるシェアは1.8%ですから、メダル点数シェアとGDPシェアを比べた場合の倍率は、なんと3.7倍となります。経済力に比べて、メダル獲得数が格段に多いと言えます。

 

同様にオーストラリアやオランダも、経済力に比して多くのメダルを獲得している国だと言えます。経済規模の小さな国では、ニュージーランド、キューバ、ハンガリーが目立ちます。

 

今回調べた限りでは、ひとりあたりのGDPとメダル獲得との相関はないと感じました。

 

ブラジルやキューバのようにひとりあたりのGDPが1万ドルを切る国でもメダル獲得点数では15位以内に入る健闘をしています。

 

ひとりあたりGDPが4千ドル弱のモンゴル選手もレスリングなどで銀メダル1つ、銅3つと活躍しました。2千ドル程度とかなり低いケニアは陸上を中心に4つの金メダル、4つの銀、2つの銅を獲得しています。

 

豊かさを糧にスポーツに打ち込むことのできる選手を擁する国々、貧困をバネにがんばる選手を輩出する国々、そして、国の支援の度合いが、メダル数となって表れていると思います。


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