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推薦図書 『 貞観政要((じょうがんせいよう))』 (呉競 守屋洋訳)

経営のヒント
2021.11.05

本書は、中国史の中でも最高の名君と言われている唐の太宗(在位626年~649年)とそれを補佐した名臣たちとの政治問答を記録したものです。中国においてはもちろんのこと、日本においても古くから帝王学の教科書として重用され、有名なところでは徳川家康や徳川吉宗、そして明治天皇も本書から学んだと言われています。

 

内容としては、治世の要諦や、人材登用、後継者育成、君主の在り方など、リーダーが抱える課題について幅広い内容が記載されています。
ちくま学芸文庫から出版されている「貞観政要」は守屋洋さんが解説、訳されているものですが、その中では、本書は創業後の守成、つまり創業からの事業を引き継いだものが、どう事業を守り、発展させていくかに主眼が置かれていると紹介されています(唐の太宗は2代目の皇帝でした)。

 

少しその内容について抜粋してご紹介してみたいと思いますが、恐らく皆さんのご関心が高いであろう「人材の登用」、「後継者の育成」について少しご紹介してみたいと思います。

 

まずは人材の登用についてです。
太宗が、なかなか臣下が人材を紹介しないのに痺れを切らし、自己推薦制として立候補制とした時に、臣下の魏徴という人がこのように答えました。
「人を知ること自体容易なことではありません。まして、自分を知るということは至難の業であります。まして、自分を知るということは至難の業であります。世間の暗愚な者たちは、とかく自分の能力を鼻にかけ、課題な自己評価に陥っているものです。売り込み競争だけが活発になりましょう。自己推薦制はおやめになったほうが賢明かと心得ます。」
よく人材採用をする際に、こちらからお声がけするスカウトと比較すると、応募で募集される方はなかなか厳しいことが少なくありません。スカウト、応募に関わらず、こちらからの見極めが重要だと感じます。

 

次に後継者の育成についてです。
この太宗は後継者の育成に非常に苦労された方でした。その詳細についてはここでは割愛しますが、太宗は後継者の育成には、その後継者を教育する者をつけることが非常に大事だと考えていました。太宗がその教育者に求める条件として挙げていたものを列挙してみたいと思います。
「皇太子ならびに諸王の補導役として、能力、人格ともにすぐれた自分を推薦してほしい。」
「師傅の第一条件は、正直にして忠信なる者でなければならない。」
「わたしは、わが子の将来を考えて、今から、厳しく教育しておきたいと思う。王珪は長年わたしに仕えてきた。剛直でしかも忠孝の念にあついところを見込んで、今度、わが子、秦の師傅に任命することにした。ついては、そなたからも秦に言ってほしい「王珪を父とも思って尊敬し、心して励むように」と」

 

この貞観政要で学んだ人として明治天皇をご紹介しましたが、明治天皇を教育した山岡鉄舟はまさに上記に当てはまるような人物でした。後継者育成の大事さを感じます。

 

その他にも本書はリーダーが抱える課題について幅広く書かれており、現代にも参考となることが沢山あると思います。もしご興味がありましたら、ぜひ一度手に取って頂ければと思います。


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