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若者の乗り物だったバイクも今ではオジサンの乗り物

経済トピック
2022.09.23

映画「トップガン・マーヴェリック」をご覧になりましたでしょうか?

この原稿を書いている時点で全米興行収入歴代5位を記録し、日本国内でも興行収入120億円を超え2020年以降に日本で公開された実写映画のNo.1のヒット作となっています。

個人的にはトップガンと言えばトム・クルーズが乗る“NINJA”と呼ばれるカワサキ製のバイクです。前作に続き、トム・クルーズが最新型の“NINJA”に乗っていることはバイク乗りの間では大きな話題になっています。

 

実は最近、バイクがちょっとしたブームになりつつあります。日本自動車工業会の発表によるとバイクの2021年販売実績は415892台と2014年以来の40万台超えを達成しました。特に近年は排気量の大きなバイクの販売が好調で、251cc以上の16月期の販売台数は51035台となり、1998年以来の10万台超えが期待されています。

販売が好調な理由としては、コロナ禍で密を避けて移動できることや、リモートワークの増加によるライフスタイルの変化に伴い、趣味としてバイクを楽しむ人が増えてことなどがあるようです。

 

しかし、近年持ち直したとはいえ、日本国内におけるバイクの販売は長年縮小を続けています。販売台数のピークは1982年の約3285000台。この年はホンダとヤマハによるHY戦争と呼ばれる安売り競争が激化したため、異常値ともいえる数字ですが、当時の販売台数は平均的に200万台を超えており、現在は当時の5分の1まで減少しています。特に減少幅が大きいのは50cc以下の原付で1980年代の15分の1以下にまで落ち込んでいます。

ここまで減少した要因はヘルメット着用義務化、高校における3ナイ運動(免許を取らせない、買わせない、運転させない)、暴走族の衰退、路上駐車取り締まり強化などが挙げられます。排ガス規制に対応に伴う価格の大幅上昇や、電動自転車の性能向上などもバイク離れを加速していると考えられます。

 

なお、日本自動車工業会の調査では、バイクの新車購入者の平均年齢は54歳となっておりライダーの年齢も上昇傾向にあります。かつては若者の乗り物だったバイクはもはやオジサンの乗り物になっており、社会における位置づけもだいぶ変化しています。また東京都が2035年までに都内の新車バイク販売でガソリン車をゼロにすると表明するなどバイクに向けられる目は厳しくなり、バイクメーカーとしても対応を迫られています。

 

そのような中、ホンダは913日に2030年にバイクの世界販売で15%に当たる350万台を電動バイクにし、2040年代にすべての二輪製品で、温暖化ガス排出を実質ゼロにすることを目指すと発表しました。ホンダは電動バイクのバッテリーを家庭用充電器や事業用蓄電池、農機など幅広い製品で共通化する世界を目指しており、電池を核にしたエコシステム(生態系)作りを目指しています。

 

世界のバイク市場はホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキの4社でシェアの5割近くを占め、「日の丸メーカー」が性能やデザイン、価格で欧米勢を圧倒してきました。日本のお家産業であるバイクを中心に新たなイノベーションを起こしてくれること期待したいと思います。


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