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日米金利差4%で「円キャリー取引き」は始まるか、円安を日本は利用すべき

小宮一慶のモノの見方・考え方
2022.09.27

米国の中央銀行FRB(連邦準備制度理事会)が9月20日、21日のFOMC(連邦公開市場委員会)で政策金利を0.75%引き上げました。3会合連続の0.75%上げで、現在の政策金利の誘導ゾーンは3.0%から3.25%です。

今後、年内では11月と12月にそれぞれ政策決定会合があり、このままでは、政策金利は4%を超える水準になる確率がかなり高いと考えられます。現状は8%を超えるインフレ率ですが、それがある程度落ち着く気配を見せなければ、FRBは利上げを続けざるを得ないのではないかと考えられます。

 

その際に、私がかなり関心を持っているのは「円キャリー取引き」が起こるかどうかです。円キャリー取引きというのは、金利がゼロの円を借りて、即座にそれを売って米ドルを買い、金利の高いドルで運用してその金利差を稼ごうとする取引きのことです。この際に、円を売ってドルを買うわけですから、さらにドル高に振れる可能性があり、円キャリー取引きをした人は、金利差とともに為替の変動でも儲かるという、2重においしい可能性があるのです。

 

これまでも何度か円キャリー取引きが起こったことがありましたが、だいたい4%程度の金利差があればキャリーは起こると言われています。理論的には3%程度でもやろうと思えば可能ですが、その利回りは1年運用してのものですから、短期的に為替レートが不利な方向(つまり円高)に動けば、年利で数%の金利差による利益では簡単に吹っ飛んでしまう可能性があります。そこで4%程度の金利差なら、ある程度「安心」してキャリーができると考えられているのです。

 

先ほども述べたように、円キャリー取引きが起こると、円が売られるわけですから、余計に円安に振れる可能性があります。

スイスが利上げに踏み切ったことで、主要国では日本だけがマイナス金利を維持する唯一の国となってしまいましたが、日銀は当面は金利を上げるつもりはありません。万一上げるとしても、おそらく短期金利で0.1%、イールドカーブコントロールを行っている10年国債でも0.25%がせいぜいでしょう。景気が良くない上に、日銀当座預金の付利の問題や大量に保有する国債の評価損を考えれば金利の上昇はできないからです。

 

最近、政府・日銀は円を買う市場介入を行いました。145円を超える水準で介入を行い、一旦140円程度まで戻しましたが、すぐにその効果は薄れました。今後、FRBの動向次第では円キャリー取引きが起こり、さらに円安となる可能性があることも念頭に置いておかなければなりません。

 

円安は輸入インフレを招きやすいですが、悪いことばかりではありません。短期的にはインバウンド客が増加します。(そのためにも欧米並みのコロナへの対応が必要です。)さらには、円安のメリットを生かし、日本国内での製造を増やすのです。そうすれば国内での雇用も増え、現在赤字の貿易収支も改善します。政府は国内への製造回帰のために補助金などで応援すべきです。プロモーションを行いコメなどの輸出もドライブをかけるべきです。いずれにしても、政府の早急な対応を求めたいものです。


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