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「働きがいと働きやすさ」

小宮一慶のモノの見方・考え方
2024.04.09

以前、外部の機関に頼んで当社の社員の「働きがい」の調査をしてもらったことがあります。しかし、その内容は「働きやすさ」に重点が置かれ、「働きがい」の調査にはなっていませんでした。
私はよく講演などで、「会社が与えられる幸せ2つ」という話をします。1番が働く幸せ、つまり働きがいです。2番目が経済的な幸せです。この順番を間違わないことがとても大切だということも必ずお話しします。
ピーター・ドラッカー先生が、マネジメントの役割として、「特有の使命を果たす」ことの次に「組織にかかわりのある人たちが生産的な仕事を通じて生き生きと働けるようにすること」を挙げていますが、まさに、働く人が生き生きと働くことが「働きがい」なのです。
働きやすさに関連して「ブラック」という言葉が使われることがあります。これは、労働時間や職場環境において、ルールが守られていないことやハラスメントが起こっている会社を指すことが多いのです。法令違反は絶対に許されることではありません。ビッグモーターなどの刑法に関する法令だけでなく、業法や労働関連の法規に反することは絶対に許されることではありません。ドラッカー先生が法令を遵守することは、組織が社会で「存在」を許される最低条件と述べておられます。人間なら法令違反をすれば社会に置いておけないので刑務所が存在しているわけです。そういった点ですべての企業は「ホワイト」でなければならないのです。それが必要条件です。
働きがいは、違う次元での話です。ブラックでも少々働きがいがあればいいというようなことをいう人がいますが大きな間違いです。企業は必要条件として、法令を遵守したホワイトでなければならず、それにプラスして働きがいを生む努力をしなければならないのです。ホワイトだけでは人は居つきません。働きがいが働く人を生き生きとさせ、自己実現を果たさせるのです。ホワイトでかつ働きがいがあり、社員が自発的にハードワークする会社が良い会社なのです。
ディズニーランドに行ったときに、多くの人は、自分が許す時間いっぱいを目いっぱい楽しむと思います。人によっては普段より速足で歩く人もいます。それは楽しみがあるからです。ブラック云々と関係のないことです。ハードワークをするというのとブラックは本質的に関係のないことなのです。
このところ、新入社員研修などで話すことが多いのですが「楽」という字は、「らく」とも読みますが「たのしむ」とも読みます。仕事は本来「楽(らく)」ではありませんが、「楽(たの)」しんでやるべきものです。そのためには、企業はホワイトでなければなりませんが、仕事そのものからの働きがいを感じるようにしなければならないのです。会社は仕事をする場ですから、仕事ができないと楽しくはありません。
私の人生の師匠である曹洞宗円福寺の故・藤本幸邦老師は、「お金を追うな、仕事を追え」とよくおっしゃっていましたが、仕事そのもの、それも良い仕事をすること、させることに集中することで、働きがいを高めるということが大切だと常々考えています。

【小宮 一慶】


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